趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

いじめで自殺を考えたら「慎治」を読んで欲しいと思う。

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慎治 (双葉文庫)

慎治 (双葉文庫)

いじめ問題が取りざたされる昨今ですが、この本を読んで欲しいと思うのが「慎治」です。いじめられっこの少年が、担任の先生に学校以外の世界(ガンダムだったり、ガンプラだったり、サバゲーだったりするのですが)があるということを気づかせてもらい、いじめを克服していくお話です。
表紙が作者の作ったフルスクラッチガンダムだし、オタクな趣味でいじめを克服するなんて、なんだかふざけた話だと思われてしまうかもしれませんが、いじめの構図、いじめを作る日本の社会、いじめられた時の心の持ち様まで、読めば読むほど味のある良い小説です。
いじめられる主人公の慎治は父母妹のいる気が弱そうだけど、ごく普通の少年だし、いじめる側も頭が良かったり、スポーツが出来たり、顔が良かったりする普通の少年3人、慎治を助ける先生も、別に熱血教師ではなく、生徒とかかわりあうのをちょっと面倒くさいと思っているくらいの、ガンダムフルスクラッチするのを趣味にしている普通の教師、普通の人たちばかりだけど、いじめはある。慎治の担任の先生は、「異端者を許さない日本の社会では、いじめは絶対に無くならない」という、しかしそれと同時に、「生きるか死ぬかの瀬戸際なら、学校なんて来なくていい」とはっきりと言ってくれる。現実が小説のようにうまくいくものではないと思うけれど、少なくとも死ぬくらいなら逃げろ、逃げていいんだ、ということをはっきり言ってあげていいのではないかと思う。
この本を最初に読了した時、勢いで書いた文章なので恥ずかしいのですが、その時の気持ちを下に載せておきます。

いいぜ、すごくいいぜ!!
この本を読み終えてその感動も覚めやらぬ間に勢いでこの文章を書いている。12時から読み始めて、今はもう2時半だ、寝なくちゃならないのに、この本を読んだ感動を早くだれかに話したくて堪らないのだ
最近話題の某アニメと同じ名前の中学生の男の子が主人公だ。学校ではいじめられていて、自殺することも考えている。結局成長できなかった(と思う)某アニメの主人公と違い。慎治はモデラーの先生や、その友達のサバゲーのチームの人たちとの交流を通して、少しずつ変わっていく。いじめっ子との対決、初めての失恋、そして少しだけ男として成長するのだ。
とにかく小説としてもすごく面白いし、ガンダム世界に対する作者のこだわりもすごくいい。いい、これはいいのだ。
ちなみに今野敏さんは空手と杖術の達人で「孤拳伝」など武術小説の著書が多く。昔から好きだった作家さんです。また新たな一面を見ることができて本当によかったと思っている。

この本ももう売っていないんですね、読みたい方は復刊リクエストをお願いします。
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=22760