趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

古典的ブルーブラックを作ってみた。

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

 あとで読む

万年筆評価の部屋の「インキと科學」という連載記事を読んで、いつか材料が揃えば万年筆のインクを自作してみようと思っていたのだが、古いWakoの試薬が発掘されたので作ってみた。各物質の量はモルで合わせた方が良いかと思ったのだが、第一次試作なので、結構いい加減に混ぜてみた。参考にしたのは、万年筆評価の部屋のこちらの記事、

2. 書写用インキ(Writing Ink)における含有量はタンニン酸1.17%、没食子酸0.38%、硫酸第一鉄1.5%以上であること。

W/V%で良いよね、と混ぜてみると薄黒い液になるが、なるほどこれで字を書いても読めないだろうという薄さ、そこで青い色素を加えるわけだが、青い色素が何かが分からない、とりあえず手元にあった青色1号で染めてみる。防腐剤には昔は石炭酸(フェノール)を加えていたそうだが、代わりに医薬品や化粧品に使われているパラベン類を使ってみた。パラベン類はフェノール性水酸基を有しているし、カルボキシル基はエステルになっているので、フェノールが使えるのならパラベンも大丈夫だろうと思う。最後に隠し味として、インク誘導液として使うらしいマクロゴール400(ポリエチレングリコール400)をほんの少し加えた。

インク誘導液を作るために、ポリエチレングリコール400を少し分けてもらってきました。

念のためにフィルターで濾過して、空きカートリッジに詰め、プレピーでロディアに書いてみた。プレピーは何と言っても安い!ということと、プラチナブルーブラックも古典ブルーブラックなので、プレピーも多少はそのあたり考慮して作ってあるのではないかと思い、試し書きに使ってみた。

プラチナも"古典ブルーブラック"仕様なのだそうです。
ボトルもカートリッジも同じものとのこと。


書いた直後は、緑がかったターコイズのような色、しばらく置くと、ウォーターマンのブルーブラックが緑変した色によく似ている。一番下に書いた文字は、15分くらい置いて水をかけてみたものだが、青い色素が流れて黒が残っている。ちゃんと古典的ブルーブラックとして機能しているようだ。

結果はきちんと文字が残っていた。洗ったときに青の成分は洗い流されていくのがわかった。その後残っていたのは黒い字である。

さて、これからいつまで詰まったりせずに書けるものか、試してみるとしよう。実際に試された方の話だと、劇的にカスが発生するらしい。

ちなみに、私は、ブルーブラックインキをよく知るために、硫酸第一鉄などを配合して自分で伝統的なブルーブラックインキを作る実験をしたことがあります。鉄片を使って一部酸化した硫酸第一鉄を還元したことを思い出します。実験レベルの超古典的な配合のインキでしたが、劇的にカスが発生しました。

市販のインクの保存期間は1年半ということなので、それくらい保たせることが出来たら良いなあ。

川口先生や石丸さんから聞いたところによると、「だいたい1年半くらいが一般的」との事です。でも、「十年近くも持っている人もいる」との話もおっしゃっていました。