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意外なところで旧パーカーブルーブラックインクの色素が判明

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キレート剤と言えば、試薬メーカーではDOJINDOがたくさん扱っているのですが、DOJIN NEWSの中で旧パーカーブルーブラックインクの色素が判明しました。

皮膚科で遭遇する頻度の高い白癬やカンジダ症などの表在性真菌症は病変部の角質片を採取して苛性カリ(KOH)水溶液で溶解し、直接鏡検することで迅速に診断できる。この際、強アルカリに耐え入手性も良いパーカーブルーブラックインクをKOH水溶液に加えることで真菌を染色し鑑別を容易にする事が標準的に行われてきた。(KOH-パーカーインク法)
 しかし、パーカーブルーブラックインクは広く用いられるようになってわずか数年後の1958年に違う処方の製品と置換された(真菌の染色に有用な Direct Blue 1 類似成分が減量された)ため、染色性が低下し*1、近年ではKOH溶液と混合した際に沈殿、変色を起こすようになるなど本来文具であるものを目的外に使用することのリスクを常に抱えている。また、しばしば角質細胞まで染色されるなど特異性も充分とは言い難い。

DOJIN NEWS / Topics on Chemistry_トリパンブルーを用いた皮膚真菌症の迅速診断 より一部引用

旧パーカーブルーブラックインクの色素には、Direct Blue 1 類似成分が入っていたとのこと、私の古典系基本10色には、ダイレクトブルー1を使ったものがありますので、真菌の染色に使えそうですね。実際真菌の染色に使うのなら、試薬でKOHとDirect blue 1を購入して混ぜた方が良いと思います。薬剤師に言っていただければ対応できます。

でも旧ペンマンインクみたいにパーカー45の首軸を溶かすようだったら嫌だなあ。

このParker 45には致命的欠点がある。長い間インクを入れたままにしておくと、首軸内部が溶けて首軸がボコボコに波打ってしまうこと。それを知ってからは一切インクを入れなかった。

万年筆評価の部屋:Parker Encyclopedia その5

病院薬局製剤という本にもパーカーインク水酸化カリウム液という処方が載っていました。
皮膚真菌症の診断法 JJMM : Vol. 49 (2008) , No. 4 pp.329-334

*1:R.L. Kuranz, Staining of Superficial Fungi in Alkaline Preparations, Stain Technology, 1964, 39, 95-98.