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古典ブルーブラックは危ないインクなのか?

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タンニン酸や没食子酸が鉄イオンとキレートを作る性質を利用したのが、没食子酸鉄インク(Iron gall ink)で所謂、古典ブルーブラックと言われるものです。もともとブルーブラックと言えば、このIron gall inkのことだったのですが、今では、モンブランペリカン、ラミー、プラチナのブルーブラックくらいが、この古典ブルーブラックだと言われています。古典ブルーブラックが少なくなって来たのは、万年筆の中で固まってしまった時の洗浄が困難だからとか、酸性のインクなので鉄ペンを錆びさせるからだとか、色々な説がありますが、本当にそんなに忌避されるものなのでしょうか。もしそうなら、なぜ万年筆の有名メーカーが今も古典ブルーブラックを作り続けているのでしょうか。
さて、話はがらっと変わりますが、仕事柄、薬の副作用について考えることが多いです。極論を言ってしまえば、副作用のない薬などないのです。薬のCMでは必ず「用法用量を守って正しく使いましょう」というフレーズが流れますが、誤った使い方をすれば、多かれ少なかれ副作用の発生確率は増加します。それでは、どんな薬にもリスクは付き物だとした上で、比較的安全に使える薬とはどんなものでしょうか。私なら、長年の使用実績があり、どのような使い方をすれば、どんな副作用が出るか分かっている薬は、比較的安全に使うことが出来ると感じます。
私が古典ブルーブラックに感じる感覚は、上記の比較的安全な薬に感じるそれと、ちょうど同じ様な感じです。古典ブルーブラックは、古くからインクの原型として、長年の使用実績があり、万年筆に入れたまま放置するような使い方をすると、ペン先が固まって詰まってしまうという副作用が出ることが分かっています。よって、注意する点は分かっているのですから、それに気をつけながら使えば、安全に使うことが出来るインクだと思います。
また、まだ仮説の段階ですが、古い万年筆がガチガチにインクで固まっていることがある要因として、インクに増粘剤や安定化剤として、アラビアガムを添加してあるためではないかと考えています。YouTubeで公開した自作インクの動画を介して、ベルギーの人から、インクの処方について相談を受けたのですが、その人の、万年筆に入れると固まってしまうので、付けペンで使っているという処方を見ると、アラビアガムが入っているのが私の処方との最大の相違点だったのです。私の処方にはアラビアガムは全く入れていません。

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