趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

研究途中のインキ丸 (インクタブレット、インクカプセル)

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Bromfield さんのペリカン インク・タブレットに関する記事を読んで、御蔵入りしていた、自作古典ブルーブラックのインキ丸を引っ張り出してきました。トレンチペン用なのか、固形インキがWAGNERの定例会で披露されたという記事を見て、試しに作ってみたものです。トレンチペンのインクはおそらく古典ブルーブラックの処方ではなかったと思うのですが、自作するからには、どうしても古典ブルーブラックにこだわってしまいます。

追記 パイロットの萬年筆と科學によると、

昭和13年9月、固形インキの製造を開始し、軍に大量に納入するようになった。固形インキを開発した直接の動機は、軍から「マイナス40℃でも凍らないインキができないものか」という問合せを受けたことによる。

とあり、このインキは、タンニン酸および没食子酸と硫酸アンモニウム鉄(II)を混ぜた、古典ブルーブラック処方のものでした。

これを作ったのは、お盆のときのWAGNER第2回中国大会に参加する少し前のことで、あまりうまく出来なかったので、岡山には持っていかなかったのです。
当初の計画では、粉の材料を混ぜて、打錠機で打錠するつもりでいたのですが、乳鉢で混ぜているうちに吸湿したのか練り物状になって来たので、急遽計画を変更し、丸剤を作るときの様に材料を延ばして、適当な大きさに切って作りました。切った材料を製丸機でコロコロと丸めると丸剤になるのですが、この時は材料をカプセルに詰めてみました。カプセルに詰めたのは取扱い易くするという目的の他に、溶けたカプセルがインキの粘性を高めるのに作用することも期待しました。

出来上がりはこんな感じで、水を入れて溶かしてみました。水は実際の使用状況を鑑みて、あえて水道水を使っています。

この時は、万年筆には入れず、ガラスペンで試したのですが、ちゃんと古典ブルーブラックとしては機能していました。

どうなったか久しぶりに引っ張り出してみたら、残念ながら下の写真のように、カプセルが溶けてしまっていました。カプセルの素材には、ゼラチン、ヒプロメロース、プルランなどが使われるのですが、確かこの時使ったのはプルランカプセルだったかな?

中身を取り出してみるとこんな感じ、まだ柔らかいです。

上記の調製してから約2ヶ月経ったインキ丸を、水道水に溶解してみました。粘性のある固体なので完全に溶けるまで少し時間がかかります、これもこの製造法の欠点です。容器のガラスの部分を見ると、置いているあいだに酸化したのか、水道水を使ったためか結構、澱が発生しているのが分かります。

でもこれくらいなら、市販のインクでも発生するものがあるので、、、今回は空いていたLAMYアルスターに入れてみました。容器の口が小さいのでコンバータで直接吸入して挿しました。書き味は普通のインクです。

今後の改良計画、例えば粉のままラミネートチューブに詰める (一包化されたインスタントコーヒーのスティックの様なイメージ)、粉のままカプセルに詰める (カプセルはHPMC製が良いか?)、古典ブルーブラックの処方は諦めて、他の処方で錠剤にする (口腔内崩壊錠の様に速崩化できるとなお良い) など。