趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

石炭酸の香りするウォーターマンのブルーブラックと古典BBのライトインキ

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「作家と万年筆展」の企画原案や「ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン」などで万年筆界隈では知らない人はいないであろう足澤公彦さん (玉、琢かざれば、光なし) から、保存剤に石炭酸が使われている時代のウォーターマンのブルーブラックと国産のライトインキを、研究されるならといただきました。ありがとうございます。

現行のものは保存剤が変更されて石炭酸の匂いはしませんが、金ペン堂の古矢健二さんが最高のインクと言われる、1990年代のウォーターマンのブルーブラックはこの石炭酸の香りがするものだそうです。金ペン堂の古矢さんとウォーターマンのブルーブラックの話は万年筆関係の本や雑誌に良く出てくるエピソードなので、このインクにもとても興味があります。

また、ライトインキは、ライトインキ本舗というところが出している国産のブルーブラックインクです。このインクをいただいてから意識して見てみると、昔の文房具の雑誌で、万年筆コレクターのすなみまさみちさんのお部屋の写真の中に、ライトインキの看板が写っていることに気がつきました。大きな看板ですので、当時はメジャーなインクだったのでしょう。

上段と下段がいただいたインクで、中段は元々私が持っていたウォーターマンのブルーブラックで書いたものです。石炭酸の香りはしませんが、箱とラベルのデザインは、いただいたのと同じ、現行の一つ前のものです。

二価鉄指示薬紙で古典ブルーブラックかどうかを試験しました。左は自分が前から使っているウォーターマンBB,中央がいただいたウォーターマンの旧BB,右端がライトインキです。古典ブルーブラックインクなら試験紙が赤く変色します。ウォーターマンのブルーブラックは石炭酸の匂いがするものも古典ではない染料インク、一方ライトインキは鉄イオンを含む古典ブルーブラックインクです。
二価鉄指示薬紙を使った古典ブルーブラックのチェック方法の詳細は、趣味の文具箱 Vol.16のP64あたりに書いています。

更に、この3種のインクを通常のペーパークロマトグラフィーで分離し、色素を見たところ、ウォーターマンは旧BBもBBも色素は同じもので、ライトインキは古典の成分以外は1種類の色素で作られているようです。

ライトインキと現行の古典BBをペーパークロマトで比較してみました。左から、モンブラン ミッドナイトブルー,ラミー ブルーブラック,ライトインキ ブルーブラック,ペリカン ブルーブラック,プラチナ ブルーブラックです。色素だけ見れば、ライトインキと最も近いのはプラチナBBのようです。