masahiro万年筆製作所のブログの『暮しの手帖』の万年筆記事というエントリで、昭和37年5月号の暮しの手帖にブルーブラックの記事が載っていると知り、探していたのですが、ようやく古本で手に入れることができました。
「インクは国産品で十分です」という記事で、「アテナ・セーラー・パイロット・プラチナをテストしました」と副題が付いています。
丸善 | アテナエース | 60cc | 50円 |
セーラー | セーラーインキ | 30cc | 30円 |
パイロット | パイロットインキ | 60cc | 60円 |
プラチナ | プラチナインク | 60cc | 50円 |
上記のインクのうち、アテナエースは廃盤、パイロットとセーラーのインキはいずれも染料に変わっていますので、当時と同じ所謂古典的なブルーブラックで残っているのはプラチナのみです。
万年筆ではなくて、鉄の付けペンをインクの中に漬けて重さの変化を測定し、腐食性を試験しています。またグルグルと書いた筆跡の紙の半分を水に漬けて耐水性を試験しています。
腐食性は大差ないけれど、若干プラチナに腐食が目立つ、また耐水性の良いものから並べると、パイロット>セーラー>アテナエース>プラチナとなったそうです。
インクを購入するときの注意点として、瓶をよく透かして見てから買うこととあり、アテナエースは5個中5個、セーラーは15個中14個に、ごくわずかながらカスが入っていたそうです。
印象的だったのは、
大事な記録を後世まで残したいというときには、インクではまずダメで、墨の方がずっと長い保存がきくということはご承知の通りです。
と書かれていたことで、役所などで、正式なインクとしてブルーブラックが推奨されていたこの当時でも、記録を長期間残すには、ブルーブラックインクよりも墨の方が優れているということが、一般的な意見だったということです。
ちなみにこの号の暮しの手帖の価格は190円、インクが50円とか60円なので結構高い?
1962年は、リポビタンD発売、YS-11完成、堀江謙一氏ヨットによる太平洋単独横断成功、映画は椿三十郎、万年筆関係では、ヌラヌラの山口瞳氏が直木賞受賞など。