趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

自作古典インク Light Blue Blackのご感想をTwitterでいただいたので紹介します。

少し前の記事で紹介した、原点に戻って調製した明るい色の古典ブルーブラックインク (Light Blue Black) です。
pgary.hatenablog.com
ご試用をお願いした、しゅんさんから、インクのご感想をいただいたので紹介します。




しゅんさん、ありがとうございます。ちなみに、しゅんさんは、ペン先の硬軟に関する考察で有名なので、こちらの記事も必読です。
blog.livedoor.jp
私はLight Blue BlackインクをWAGNER2018に入れて、手帳に使っていますが、自分でも気に入っています。WAGNERインクを調製した時のあまりで作ったので量は無いのですが、もう1、2人タミヤするくらいは有るかな。

WizardryもUltimaもなんならドラクエもFFもまともにやってませんが知識としては知ってます。

話題に乗っかって田舎自慢をするならば、電車は通っていない、本屋までは車で30分のところで小中学校時代をすごしましたが、洋ゲーの知識は一通り持っていました。本屋に行けるのは1ヶ月に1度あればよいくらいで、その数少ないチャンスにたまたまゲットしたベーマガ*1とOh!MZの定期購読が許されていたからです。
電気屋の店頭でプログラムを打ち込む「ナイコン族」なる言葉も、知識としては知っていましたが、当然そんな環境は無く、ただ祖父が新しもの好きだったので、中学のとき家にMZ-700が来ました。
1ヶ月に2冊の雑誌だけが情報源ですから、広告まで全てのページを舐めるように何度も読んでいました。ベーマガのプログラムは他機種用でも面白そうなものは移植して遊んでいました。また日曜の朝は、とくダネの小倉さんが司会のパソコンサンデーを見ていました。家にビデオデッキが無かったので、生で見るしか無かったし、副音声のプログラムを録音する術も無く、副読本を読んで勉強しました。

そんな情弱の環境でしたが、WizardryUltimaというスゴいゲームが海外にあるのだという話は知っていました。ゲームと言えば、Oh!MZの清水和人さんが紹介されていたイメージが強いです。RPGブームの前にADVブームがあり、ミステリーハウスやZORKに憧れていました。MZ-700には移植されませんでしたが、日本でもデゼニランドサラダの国のトマト姫など、相次いで発売され、MZ-700にも「不思議の森のアドベンチャー」「タイムシークレット」「タイムトンネル」などの名作が発売されました。

その後RPGブームが来るのですが、その頃にはMZ-700は旧機種となり、ソフトがあまり発売されなくなっていました。唯一のRPGは「ポイボス part 1脱出」で、これは宇宙船を修理して脱出するエンディングまでクリアしたが、2作目は結局発売されませんでした。
X1を持っている友達の家で、ザ・ブラックオニキスドラゴンスレイヤーイースハイドライドザナドゥなどを見せてもらいましたが、WizardryUltimaはありませんでした。ファミコンは買ってもらえなかった。社会現象になったドラゴンクエストも発売日の行列やカセットのカツアゲ、抱き合わせ販売の問題をニュースの中で見るだけのものでした。
大学生になってメガドライブを買いました。SHARPからSEGA、MZからMDとマイナーな方を選んでしまう癖は、Oh!MZで培われたものです。RPGファンタシースター2レンタヒーローをクリアしました。思えばこれまでの人生でちゃんとクリアしたRPGは、ポイボスとファンタシースター2レンタヒーローだが、どれもSF作品でファンタジーが無い。

未だにWizardryUltimaドラゴンクエストファイナルファンタジーも、ちゃんと遊んだことはないですが、ギルガメッシュの酒場、いしのなかにいる、ワードナロード・ブリティッシュと言った用語は分かるし、「ウィザードリィ日記」「隣り合わせの灰と青春」などの本は好物です。
togetter.com
mubou.seesaa.net
ta-nishi.hatenablog.com
fujipon.hatenablog.com
「隣り合わせの灰と青春」に連なるウィザードリィの世界を下敷にした作品として、現代に出現した迷宮に置き換えた「迷宮街クロニクル」のシリーズがある。元はウェブ上に公開されていた作品だが、これがかなり面白い。

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫)

迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫)

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)

ヌルリフィルに万年筆で書いた文字を次亜塩素酸ナトリウムで消去してみる。

ヌルリフィルは、pen_saloonさん*1が開発された、ユポ紙*2という合成紙を使ったリフィルです。万年筆のすべりがよくて、ヌルヌルと気持ちよく書けるのが特徴です。
f:id:pgary:20180927205602j:plain
まず色々な種類のインクでヌルリフィルに書いてみました。上から、顔料インクのセーラー 蒼墨、染料インクですが耐水性が高いことで有名なパイロット ブルーブラック、古典インクのプラチナ ブルーブラック、染料インクでヌルリフィルで遊色することが有名なセーラー 123、セーラー石丸さん調製のBUNGU BOX 初恋インクです。
f:id:pgary:20180927205613j:plain
ヌルリフィルは合成紙で水に強いので、文字を洗って再利用できないか試している方がいらっしゃいます。私もまずは水だけで洗ってみましたが、どのインクも結構頑張って残っています。プラチナの染料分、セーラー 123と初恋は結構流れましたが、まだ十分判読できます。
f:id:pgary:20180927205622j:plain
そこで次亜塩素酸ナトリウムで処理してみました。今回用いたのは、ミツエイ株式会社のブリーチという衣料用漂白剤で、成分は次亜塩素酸ナトリウム水酸化ナトリウムのみです。
次亜塩素酸ナトリウムの商品では、花王のハイターが有名ですが、衣料用のハイターの成分は、次亜塩素酸ナトリウム水酸化ナトリウムのみなのに対して、台所用のキッチンハイターには、それ以外に界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)が含まれているので注意が必要です。
f:id:pgary:20180927205636j:plain
ブリーチは説明書きのとおり100倍希釈し、15分間ヌルリフィルを浸漬しました。
漂白剤ですから、染料インクは消えるだろうと予測していたのですが、それよりも古典インクのプラチナ ブルーブラックの方がよく消えたのは意外でした。顔料インクの蒼墨は勿論、びくともしていません。
f:id:pgary:20180927205647j:plain
ブリーチの液性はアルカリ性で、古典インクの耐水性成分であるタンニン酸鉄や没食子酸鉄が溶けやすい酸性とは逆のpHです。
プラチナ ブルーブラックが消えた跡に、没食子酸水溶液を綿棒で塗ってみると、筆跡が浮かびあがってきたので、鉄分は残っているようです。次亜塩素酸ナトリウムでタンニン酸が分解して色が消えたのかもしれません。
f:id:pgary:20180927205656j:plain
もう一度文字を書けるか、プラチナBBと123で書いてみたら普通に書けました。ヌルリフィルの表面も変化している様子はありません。
今回試したインクの中ではプラチナ ブルーブラックがヌルリフィルとの組み合わせで、ヌルリフィルの再利用に適しているようです。