発売開始から暫くして話題になっていた、プラチナ クラシックインクの特にシトラスブラックやカシスブラックで見られがちな沈殿物について、プラチナのページで説明が追加されたり、お店では説明のポップを店頭に表示したりして情宣しているのですが、あまりその説明は広まっていないようですし、最近はお店のポップも見かけないように思います。
そして私自身もブログで書いたつもりになっていて、記事を検索してみたら、書いていないことに今更気づきました。

プラチナ万年筆ニュースリリースのページに書かれている下記の文言がそれにあたります。
※時間の経過により、ボトル内のインクに沈殿物がでる場合がありますが、クラシックインクの商品性並びに筆記性能に影響はありません。

上記画像のような沈殿で、インクから変な匂いがしなければ、タンニン酸の分解物が3価の鉄イオンを触媒として生成する「エラグ酸」だと考えられます。
iron-gall inkに関する論文*1に、エラグ酸が生成することが書かれていましたので、濾取して洗ってみると、白〜黄色っぽい粒子で、水に溶けず、DMSOに溶け、NMRはやってませんが、MSで合っていたので、おそらく間違いないと思います。
ja.wikipedia.org
沈殿が出ても、そのまま使って問題ありませんが、必ずインクの匂いはチェックして、黴など別の要因でないことを確認されてください。
bmcchem.biomedcentral.com
構造と反応は、論文のsupplementaryをご参照ください。