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万年筆インクの処方について、最新化学工業大系 第10巻を確認

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前回の手作りインクのタンニン酸、没食子酸、硫酸第一鉄量の再検討では、タンニン酸の分子量を1695とすると計算が合うと考えたが、万年筆評価の部屋:解説【インキと科學】 その17に紹介されている、元になった文献の「最新化学工業体系 10巻」が図書館にあったので借りてきた。
それによると、著者の牧博士は、タンニン酸の構造と分子量として、E. Fischerのpentadigalloyl-glucoseを採用し、分子量1700.4として計算されていた。
この文献には当時 (本は昭和9年発行) のインキの処方も掲載されており、粘度調整にはアラビアガム、防腐剤には石炭酸が使われている。
色素は水溶性の大きい酸性染料なら何れも使用可能だが、従来の習慣、嗜好から青色染料、ウォーターブルー (soluble blue) が当時最も普通に使われており、従来使用されていたインジゴカーミンの使用は減少しつつあると書かれている。また、サイヤノール (cyanol)、アシッドグリーンB、ナフトールブルーブラック、ナフトールブラックB等も稀に使用されるとのことである。