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自作インクの溶剤を何にするか、特許から推察する。

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現在の自作インクの処方では、溶剤としてプロピレングリコール (PG) とグリセリンを使っています。ちょうど手元にPGがあったのと、PGの方がエチレングリコール (EG) やジエチレングリコール (DEG) よりも毒性が低いことから、PGを使っていたのですが、万年筆インキによく使われているのは、EGやDEGの方です。EGやDEGを使うのは、そちらの方が万年筆インクに適した性質をしているためでしょうか、それとも価格など他の要因なのでしょうか。

パイロットインキの万年筆用インキの特許の実施例を参考にみてみました。
1.特許公開2000−313836 万年筆型筆記具用水性インキ組成物 エチレングリコール+グリセリン
2.特許公開2006−265520 直液式筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した直液式筆記具 ジエチレングリコール+グリセリン
3.特許公開2006−290984 万年筆型筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した万年筆型筆記具 ジエチレングリコール+グリセリン
4.特許公開2006−291050 直液式筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した直液式筆記具 ジエチレングリコール+グリセリン
5.特許公開2006−316122 筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具 エチレングリコール+グリセリン 顔料インクの特許
6.特許公開2007−154025 筆記具用水性インキ組成物及びそれを収容した筆記具 グリセリン
7.特許公開2008−106080 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 DMSO+グリチルリチン酸塩
実際には、1と3が万年筆のインキに関するものであって、他のものは、特許の請求範囲に万年筆を含めているものの実際の目的は別の筆記具にあるものと考えられます。

また、ぺんてるの特許では、
1.特許公開2007−297519 万年筆用水性インキ エチレングリコール+ジエチレングリコール+グリセリン
なので、これからみる限り、EGやDEGを添加する例がやはり多いようです。よく2chの万年筆インクスレで、「インク飲んだ」とか、たぶん冗談で書かれているのですが、EGやDEGが入っているものを飲んだら、下手すると死んでしまうので、飲まない方がよいです。
エチレングリコールのヒトにおける致死量は1,560 mg/kg と推定されており、ジエチレングリコールはそれより低いとされているので、どちらかと言うと毒性は低い部類の化合物になるのでしょうが、風邪薬に混入したジエチレングリコールによる死亡例などあるので、絶対に飲まないでください。