趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

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I can make an iron gall ink a little

自作ブルーブラックインクの成分を硫酸にするか塩酸にするかの考察。

自作インクのモニターをお願いしているMuseさんに、第2弾のインクを送付しました。今回のインクから、硫酸第一鉄の代わりに塩化鉄(II) (塩化第一鉄) を用い、pHの調整にも塩酸を用いたインクになっています。

伝統的な古典ブルーブラックインクの処方では、鉄として、硫酸第一鉄が使われていることが多いようです。古典ブルーブラックを作るにあたって最初に参考にさせていただいた、万年筆評価の部屋のインキと科學の解説の資料でも硫酸第一鉄が使われていました。それ故、古典BBインクの調製を開始して以来、硫酸第一鉄を用いて作ってきていたのですが、硫酸塩を使うことに心の隅に引っ掛るものをずっと感じていました。硫酸を扱ったことがある方なら経験されたことがあるかと思うのですが、薄い硫酸を紙で拭き取り、その紙を放置しておくと、紙がボロボロになります。硫酸は不揮発性の酸ですから、薄い硫酸でも放置しておくと、水分が飛び濃縮されて濃硫酸になり、紙を腐食するのです。調べてみると、実際に修復家の方のページで、ブルーブラックインクによる損傷の一例が紹介されていました。このような現象をインク焼けと呼ぶようですが、その原因は、硫酸によるセルロースの酸加水分解と、鉄(II)イオンが触媒するセルロースの酸化分解にあるそうです。

自分が生きているうちにインク焼けの症状が現われるというわけでは無いでしょうが、せっかく耐水性、耐光性を期待して使っている古典BBで、紙の耐久性が下がってしまうのでは本末転倒です。古典インキの発色に関与する鉄(II)イオンを抜くわけにはいきませんが、せめて硫酸は抜きたい、また、参考にしている最新化學工業大系にも、「不揮発性の硫酸よりは揮発性の塩酸の方がインキの耐久力に対して良好なりと認められる。」と書かれていたので、最新処方では、塩化鉄と塩酸で調製しました。
今度は多少心配なのは、塩化物イオンで鉄製のペン先が腐食しやすくなるのでは?、という懸念があることです。ただ、最新化學工業大系には、pH調整用の酸として、塩酸を使った例が多数紹介されており、1890年頃のドイツの標準インキも塩酸を使っているので大丈夫だとは思います。

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