趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

極私的国産ボールペン7種比較(青)

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

 あとで読む

いくら万年筆が好きだと言っても、ボールペンを使わざるを得ないシチュエーションはあるわけで、普段使いするための一本を選ぶため、文房具店で目に付いた150〜200円くらいのボールペンをまとめ買いしてきました。インクの色は青ばかりです。万年筆でブルー系をよく使うという言うこともありますが、書類などに書き込みをするときに、印刷と手書きの部分がはっきり区別できるところも気に入っています。また太さはノートに書くために使うので、0.7か1.0mmを選択しました。
上から油性の3本、uni Jetstream(ジェットストリーム)、uniPowerTank(パワータンク)、Pilot Acroball(アクロボール)、ゲルの3本、Pentel HyperG、uni Signo(シグノ)、Pentel EnerGel Euro(エナージェルユーロ)、水性のPilot V-ball RT、おまけでボールペンではないですが、Pentel PulaMan(プラマン)とPentel Signpen(サインペン)です。

同じ青のボールペンでも色調にはかなり違いがあります。一番薄く水色に近いのはSignoで、一番黒っぽいのはJetstreamです。同じ三菱の製品でも色調が両極端なのは面白いです。また、PowerTankとAcroballは1.0mmなのですが、筆記線の太さはHyperGやEnerGel Euroに比べてむしろ細いくらいです。筆記線にはボールの大きさだけでなく、インキの粘度やインクフローが関係しているようです。
試筆して気になった点を画像上に四角でマークしてみました。
まずJetstreamですが、赤の四角で囲っている書き出しの部分がかすれています。Jetstreamは低粘度油性インクボールペンの草分け的存在で、その滑らかな書き味には定評がありますが、低粘度でも滲まないように乾燥しやすくしているのではないかと予想されます。そのため一端書き出してしまうと非常に滑らかなのですが、しばらく置いて書き出そうとするとかすれることが多いようです。
次に緑の四角で囲った部分が、JetstreamとPowerTankとAcroballのぐるぐると書いた筆記線に見られますが、これは油性ボールペンによく見られるダマが発生したところです。
Signoの筆記線ではぐるぐるの後半部分を青の四角で囲っていますが、Signoは高速で書き続けると、少しインクが薄くなってくる傾向が見られました。速く書きすぎるとインクの供給が足りなくなるのかもしれません。Signoはゲルインクなので、ボールが回転するときのずり応力でインクの粘度が下がりインクが排出されますが、応力がかかっていない部分は粘度が高いままなので、その間で少しインクの供給が不足しているのではないかと思います。これを改善するには元々の粘度を下げればよいのですが、そうすると今度は筆記後の滲みや乾燥性の問題が出てきます。三菱は、Jetstreamの書き出しかすれの件でもそうですが、どちらかというと乾燥重視のバランスで、逆にPentelはHyperGやEnergelの筆記線がボール径の割に太いことから、フロー重視のバランスにしているようです。
V-ball RTの筆記線をオレンジで囲っていますが、これは見て明らかなように筆記線が完全にかすれてしまいました。やはりインキの供給が足りていないのだと思われます。気になる点として、Pilotのキャップ式の水性ボールペン Vcornでは、万年筆と同じようなジャバラ状のペン芯構造でインク量を調整しているのに対し、ノック式のV-ball RTでは、低粘度の専用インキを使って調整していることです。ペン先を太くできないので、ペン芯はなくゲルインクリフィルと同じような構造になっています。このあたりに、水性ボールペンをノック式にすることの難しさがあるのだろうと思います。
以上書き味の比較から、Jetstreamは書き出しのかすれがストレスになるので、Signoは筆記線が薄くなるのが気になるので、V-ball RTは筆記線がかすれたのと、ペン先が少しかたつく様な感じがすること(リフィルをばらせないので予想ですが、ペン先にバルブが仕込んであり、筆圧がかかるとバルブが開いてインクが出てくる様な構造になっているのだろうと思います)、それに水性インキなので油性に比べ水に弱いことから、候補から外しました。
候補に残った4本を個別に見てみます。
uni PowerTankは、これらの中では最も普通のボールペンと同じ書き味ですが、リフィルを加圧しているため、上向きでもちょっとくらい濡れた紙面でも書けてしまうタフさが魅力です。またデザインもシンプルで、200円とは思えないくらい高級感?(4〜500円くらい)があります。

Pilot AcroballはJetstream対抗と目されるPilotの低粘度油性インクボールペンで、Jetstream程の滑らかさはありませんが、書き出しのかすれもなく、自分には最もバランスの良い書き味だと感じられました。Jetstreamより滑らかさが落ちるのは、乾燥性を押さえる代わりに粘度を少し上げてバランスをとっているためだと思います。このあたり各社の思想により、どこにバランスを持っていくかで、私はAcroballの方が好きだと感じましたが、どちらが良いというわけではなく、あくまで使う側の好みになります。
Pentel HyperGとEnergel Euroは書き味はほとんど同じです。非常に滑らかで、インクのとぎれもなく書くことができますが、ボールペンの径の割りに筆記線が太めで、紙によっては滲みや裏抜けが気になるかもしれません(微々たるものですが)。HyperGとEnergelのリフィルを比べると形も大きさも同じで互換性もありそうですが、型番はHyperGがXKLR、EnergelがXLRで異なっているので、中のインクが違うのでしょうか。また、Energelはリフィル式で交換ができるのですが、Energel Euroは軸にインクが入っているため本体使い切りタイプになり、その分Energelよりスリムになっています。

ただ気になるのが、HyperGのデザインです。ぺんてるの筆記具は、サインペンやボールPentel、プラマンなど、シンプルですっきりとして、飽きのこないスマートなデザインというイメージがあるのですが、HyperGは、ペン先のツノと窪みや軸のダイヤ模様など、妙にごてごてとした印象を受けました。クリップもメタルで凝った形に加工してあり、ラバーグリップも斜めにカットされていて、全体的にコストがかかっていそうな感じですが、それがあまり効果を上げていないように思います。Energel Euroはすっきりとしたデザインで、まさにぺんてる!という感じで好きなのですが。

これらの結果より私は、PowerTankとAcroballとEnergel Euroを状況にあわせて使いわけることにしましたが、その他のボールペンも勿体無いので、あちこち行動範囲にばらまいて使っています。色々と批評をしてはみましたが、結局どれも良く書けて良いボールペンばかりです。