パイロットの「インキと科學」では、古典ブルーブラックインクをタンニン類鉄インキ、タンニン酸鉄インキ、没食子酸鉄インキの3種類に分類しています。
(万年筆評価の部屋:解説【インキと科學】 その10-1)
古典BBを自作するにあたり、当初は古来の処方そのままにタンニン酸と没食子酸を両方含む、タンニン類鉄インクを作っていたのですが、その後、安全性を重視して、没食子酸鉄インキをベースにして調製をしてきました。
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「インキと科學」では没食子酸鉄インキの方が沈殿が少なく、日本のインキはタンニン酸鉄インキがほとんどなので、没食子酸に着目すべきとしながら、パイロットのインキは、没食子酸onlyまでは行かず、タンニン類鉄インキとなっています。パイロットでは研究の結果、タンニン類鉄インキがベストと判断されたのでしょうか。
過去の「趣味と物欲」の記事を再検索してみますと、粒子径を比較してみたり
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態と酸化させて安全性をみたりもしていました。
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さらに、にじみやすさへの言及や
没食子酸鉄インキをベースにすると、タンニン酸が入っていた処方に比べて、少しにじみやすいので、その対策をどうするか試行錯誤している。
粘度への言及もしていました。
自作古典ブルーブラックインクの粘度ですが、原液の処方を、旧来の一般的な処方であるタンニン酸と没食子酸の混合から、没食子酸のみの処方に変えたときに随分下がりました。
色々と検討していたのに、すっかり忘れていたこともありました。
ペントレーディング in 東京のWAGNERブースで配布されたインクと同じ色素構成で、タンニン類鉄インキを作ってみました。タンニン類鉄インキの方が、乾燥後の色が若干黒いです。
↑右側2/3くらいに水をかけていますが、タンニン類鉄インクの方がより黒く筆記線が残っています。
安全性なら没食子酸鉄インキですが、性能的には若干タンニン類鉄インキの方が勝っているかもしれません。