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ダイアミンの古典ブルーブラックであるレジストラーズインクについて分かっていることまとめ

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黒猫陛下が話題にされていましたが、ナガサワ文具センターにダイアミンのインクが多数入荷し、その中には古典ブルーブラックのDIAMINE Registrar's Inkもあるそうです。

また同時期に代官山 蔦屋書店にも入荷した模様です。
ナガサワの方が耐水性について実験されていますが、確かにこのインク水に強いです。
プラチナやペリカンの古典ブルーブラックに見られる、色素成分の流れもほとんど見られません。古典ブルーブラックが記録を取るための正式なインクであった時代の特徴を色濃く残したインクです。
そしておそらくその耐水性の高さは、鉄分が多く、色素が少ないことによると考えられます。
ペーパークロマトグラフィーで色素成分を分離した結果を見ても、水に強い特別な色素が使われているわけではなく含まれている色素が少ないようです。また、二価鉄指示薬紙を用いた鉄分の測定結果からは、ペリカンなどに比べ鉄分が非常に多いインクだと予想されます。
上記の方が書かれていることはもっともなことで、耐水性があるということは、水で洗浄し難いということでもあります。実際に、ダイアミン、プラチナ、ペリカン、R&Kの古典ブルーブラックを乾燥させ洗浄性を比較した結果、プラチナ、ペリカン、R&Kは固まった直後なら水で落とすことができましたが、ダイアミンは水では落ちませんでした。ダイアミンが固まったものを落とすには、アスコルビン酸による洗浄をする必要があります。
また、もう一点気をつけなくてはいけないのは、ダイアミンのレジストラーズインクは酸として塩酸を使用していることです。古典ブルーブラックを鉄ペンで使って問題が出たという話はあまり聞いたことがありませんが、鉄の腐食性は硫酸より塩酸の方が強いので、鉄ペンで使用する際は気をつけた方が良いと思います。
実感としてはそうですよね、うちの30mL瓶にもがっつり澱が発生しています。このあたりのことは分かっている人が買うから良いんでしょうが、販売される方が気を使われるポイントになるかもしれません。
この澱の画像について、「捏造だ、蓋を開けっ放しにしたんだろう、何か混ぜたんだろう」等と謂れのない非難をされる方がいらっしゃいますが、普通に使用して普通に保管していたものです。私以外にもレジズトラーズで澱が出やすいという感想をお持ちの方はいらっしゃいますので、私だけのところで起こる現象ではないようです。
ちなみにダイアミン推しの方は、下記のようなことを言われていて、古いインクやグリスを瓶の中に混ぜていることになると思うのですが、それは良いのかなあ。インクで共洗いをされる時は、すったインクは捨てられているものだとばかり思っていました。私は吸引の時に瓶の中のインクにペン先を付けることはしますが、スクリュー式のコンバータを瓶に付けた状態で排出側に回さないように注意しています。

敢えて共洗いをするとすればインク瓶の中につけてインク吸う⇔出すを繰り返すだけ
まぁ気にするとしたら酸化したインクがインク瓶の中に入るコトくらいか
現実的な話をすれば、常用していれば常に共洗いされてるような物(筆記でインクが流れていれば十分)
レジストラーズ使い続けてるけどトラブルでた試しがない。
唯一面倒なのはグリスが溶けるので定期的なグリスアップが必要なことくらい
これは社外品使ってる時点でどんなインクでも起こりうるけどね。特にアルカリ系だと心配だわ。


ダイアミン社レジストラーズインクの滓をろ過で集めてみた - tsukico.
この様に、ダイアミンのレジストラーズインクは、耐水性が高く滲み難いなど性能が高いインクですが、使用する時は小まめに洗浄するなど少し気を使うインクであると言えます。プラチナやペリカン、最近古典ではなくなりましたがモンブランのブルーブラックなどは、若干の耐水性を犠牲にして洗浄性を高める方向に処方を変更してきたと考えられ、それが時代のニーズだったのだと思います。昔ながらの処方で作り続けていたダイアミンに時代が一巡りして脚光を浴びた感じがします。
また、かつて古典ブルーブラックはパーマネントインクという呼ばれ方をしたこともありますが、いくら耐水性の高いダイアミンレジストラーズインクとは言え、ガンヂーインキ消では簡単に消えてしまいますから、改竄されてはいけない書類には、顔料インクを使うべきだと考えられます。

ガンジー(ガンヂー)インキ消【万年筆用】 IR-700

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モンブランの新しい顔料インクは、パーマネントブラック、パーマネントブルーと言いますが、今日では顔料インクの方がパーマネントという称号に相応しいと思います。