趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

クルミインク(ウォールナットインク)も古典インクの一種と考えられます

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クルミインクについて、白星さんのところで話題になっていました、後にエントリーを書かれるとのことなので、あまり書かないようにしようと思いながら、でも調べたら面白かったので結局分かったことを書いておきます。すみませんm(__)m

こふさんが骨董市でもらったというインクを頂きました。
クルミインク?わからないので御大の所に。。。しらんな?。。。と。
しかしアラビアゴム・・・あ!。。。思い出したが。。。これものちのちエントリーします!

古典ブルーブラックに分類される没食子インクは没食子(虫瘤)から抽出したタンニンを利用してインクを作っています。クルミインクはクルミのタンニンを利用しているんだろうと予測しながら、検索してみると、

クルミの実をお湯で煮た液を煮詰めて、アカシア樹脂でトロミを付ける」というのが作り方の基本のようです。ちなみにアカシア樹脂というのはアラビアゴムのことです。
鉄分は入れないのかと思ったら、カリフォルニア くるみ協会というところのページに、くるみの薄皮に鉄分とタンニン酸が含まれるという記述がありました。

【原因2】くるみの薄皮(渋皮)に含まれる鉄分とタンニン酸

また、昔は煮出す時に鉄鍋を使って、鍋から溶出した鉄分も加わっていたんじゃないかと思います。クルミインクの話じゃないけど色素がらみでは、リービッヒとベルリン青の逸話で有名な話です。

工場長が曰く、がらがらと大きな音を立てて混ぜるほど良いベルリン青ができるということである。しばらくして科学者から手紙が送られてくると、そこには「鉄の粉を鍋に入れてやれば大きな音を立てずとも普通に混ぜるだけで良い色が出るだろう」と書かれていた。大きな音を立てて混ぜると鉄の鍋がこすれて溶ける、それが良い色を出していた原因だというのである。

ちなみにここで出てくるベルリン青は別名、プルシアンブルー、紺青 - Wikipediaのことで、フェロシアン化鉄(III),Fe4[Fe(CN)6]3なので、タンニン酸鉄や没食子酸鉄とは異なります。

古典インクの主要な成分である、タンニン,鉄,アラビアゴム(安定化剤)は揃いましたが、防腐剤が入っていないのが気になります。タンニンの防腐作用に期待ということなのかもしれませんが、煮出したものを漉しただけで不純物も多そうなので腐りやすいとは思います。
パイロットの「インキと科學」の本にクルミインクが載っていないか、ざっと見てみたのですが、その物ずばりはありませんでした。タンニンの原料として、チェストナットタンニンという栗の木から取るタンニンが載っていて、ちょっと近いかと思いましたが、このタンニンはインキの材料としては不向きとのことです。

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