趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

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「絵画の材料」という本に書かれている没食子インクについて読みました

下記の記事のコメント欄で、継蓬さんより「絵画の材料」という本をご紹介いただきました。
トミケイさんによるBTOOLマガジン 5号の紹介記事から当時のブルーブラックインクについて読み取る - 趣味と物欲

あくまでも絵画の立場で書かれた書籍ですがconsiceで興味深いものと感じました.
特筆すべきは92-94ページに;
II 素描の材料
3. インク
(1) 没食子インク
の記述があり,インクタマバチの虫瘤や五倍子の写真に加えて,
ブルーブラックインクの例としてDiamine Registrars Inkが紹介されていました.

Amazonで購入して読ませていただきました。
没食子インクの成分について、「タンニン酸第二鉄または没食子酸第二鉄」と簡潔ですが正確な表現をされています。
絵画の材料ですから、市販の万年筆インクの話よりも、没食子インクを、「没食子と鉄釘を入れた食酢から作る方法」と、実際に作られている様子の画像が掲載されています。
また手作りの没食子インクを作るとき、「紙の腐食を防ぐため、過剰な鉄イオンを加えることを避ける」などのコツは、絵画の材料として没食子インクを作られている方ならではの視点だと思いました。
f:id:pgary:20200606120851j:plain
あえて細かい点を指摘するならば、没食子インクの色の変化について、「これは成分の鉄イオンが空気中の酸素と結合するためである」と書かれているのですが、酸素と結合だと酸化鉄を作る反応と誤解される可能性があるので、「鉄イオンが空気中の酸素により酸化され、タンニン酸第二鉄や没食子酸第二鉄が生じるためである」の方が誤解を受けにくいと思います。
また、没食子インクが染料インクに置き換えられていった時期を、「万年筆の登場とともに」と説明されているのですが、日本の万年筆黎明期が夏目漱石の頃として、「余と万年筆」の発表が1912年(明治45)、実際にブルーブラックインクが染料インクに置き換えられていったのは戦後ずいぶん経ってからのことですから、「油性ボールペンの普及とともに」置き換えられていったのではないかと思います。
夏目漱石 余と万年筆
Diamine Registrars Ink以外にセピアインクの例として、万年筆博士のイカ墨インクが載っていました。
私が分かるのは、この本のほんの一部の没食子インクについてだけですが、その他の絵画材料についても、幅広く作り方や使い方が書かれており、画像も多くて大変興味深く読ませていただきました。買って良かったと思います。

絵画の材料

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