趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

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I can make an iron gall ink a little

古典インクとか、没食子インクとか、鉄分を多く含む染料インク全般に関する用語まとめ。

このブログではトップの記事に、下記のように明示しています。

古典ブルーブラック (古典インク) という言葉をこのブログでは、「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」と定義しています。

何でかと言うと、一々「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」と書くのが面倒臭いからです^^;
古典インクという用語は、タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含まない染料のブルーブラックインクが増えてきた時に、以前からある、タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含むブルーブラックインクのことを表すために、自然発生的に生まれてきたものです。
お叱りを受けることもある用語ではありますが、それ以前に使われていたパーマネントインクや混合型インクという用語も不正確ですし、ピンと来ません。
趣味の文具箱やプラチナ社も古典インクやClassic inkと言っているし、もう古典インクで良いんじゃないかと思っていたのですが、古典インクは古典的な製法 *1 のことという、これまでの経緯を無視して、字面だけで意味を取られても困るなあと思います。
pgary.hatenablog.com
もう諦めて、「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」と一々書いた方が良いでしょうか。もう少し短かくするなら「鉄分を多く含む染料インク」くらいでしょうか。


INOUEさんより、上記のご意見をいただいたので、文具店で確認してみるときは、「鉄分を含みますか?」あるいは「鉄分を含むインクですか?」を推奨します。
ただ本来は、鉄だけでなく、タンニン酸 and/or 没食子酸も入っている必要があるので、正確に言うなら「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」になるかなあと思います。
ペリカンや大手文具店の方に確かめる時も、「古典インクですか?」と聞くと「染料インクです」と答えられて、それでも間違いじゃないかもしれませんが、「鉄分を多く含む染料インクですか?」と聞いたら違うとは言えないでしょう。
意外に良い思いつきのような気がしてきました、元動画の方に感謝しなくては^-^)b
それはともかく、用語をちゃんと定義して、イメージを統一した上で話をしないと、またすれ違いが生じそうなので、用語の定義からやっていきます。

  • タンニン → 皮を鞣す (tanning) に使われる植物由来成分の総称、植物により多種のタンニンが存在する。
  • 没食子 → ブナ科の植物の若芽に蜂が散乱してできる虫瘤、タンニンが多く含まれる。
  • 五倍子 → ヌルデの若芽や若葉にアブラムシが規制してできる虫瘤、タンニンが多く含まれる。
  • タンニングルコースに没食子酸が5分子結合した構造の加水分解性タンニン、没食子や五倍子に多く含まれるタンニン _タンニン酸 - Wikipedia
  • 没食子 → gallic acid、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、タンニン酸を発酵させるなどするとエステル結合が切れて生成する。_没食子酸 - Wikipedia
  • 没食子インク → iron gall ink、狭義には、没食子の抽出液と鉄の塩を混ぜて作る古典的な製法によるインクを指すが、タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク*2を指す場合もある。ちなみに英語だと、 iron gall inkやIG inkと言えば、タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インクを指すので、日本語よりも楽

タンニン酸や没食子酸の構造や性質は、キリヤ: Q&Aのページが詳しいです。
が付くと化学物質のことを指しますが、付かないと植物や植物成分の総称を指します。
狭義に、没食子インク、五倍子インクと言えば、それこそ古典的な製法のインクで、没食子や五倍子を潰し、成分を抽出した液に、鉄分 *3 を加えたもので、染料も加えず、更なる酸の添加もせず、態と酸化させることで黒くしたものでした。
その後の現在に繋がるような近代的なインクでは、没食子や五倍子から成分のタンニン酸を抽出、精製して用いました。これがパイロットの「インキと科學」などで、タンニン酸鉄インクと言われているものです。
タンニン酸は、グルコースに没食子酸が5分子結合した構造で、この結合は加水分解しやすいエステル結合なので、発酵などの処理をすることで、没食子酸を分離し、精製することができました。この没食子酸のみを使用して作るのが、没食子酸鉄インクです。
タンニン酸鉄インクには自然と分解した没食子酸も含まれますが、インクの粘度などの性質を調節するために、タンニン酸に没食子酸を一定の割合で配合して作るのが、パイロットの「インキと科學」で、タンニン類鉄インクと書かれているものになります。
既に現在の「鉄分を多く含む染料インク」と同じものが製造されていた1930年頃では、パイロットを除く日本メーカーのブルーブラックインクはタンニン酸鉄インク、米国のカーターインクが没食子酸インク、パイロットとウォーターマンがタンニン類鉄インクだったそうです。
よって、時系列的には、タンニン酸鉄インクが先にあったので、没食子酸インクが古典的な製法のインクで、それを現代的な製法にしたのがタンニン酸インクという説明は間違いということになります。

*1:没食子の抽出液を精製せずに、そのまま鉄分を加えて作るようなインクのこと?

*2:所謂、古典ブルーブラックや古典インク

*3:緑礬、硫酸第一鉄が良く用いられるが、古くは鉄を水や酢に漬けた液も使われた。

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