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博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

古典ブルーブラックインクの万年筆へのこびりつきを化学的に落とす。

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自作した古典ブルーブラックインクのモニターをしていただいているチェリーさんが、「Penペン草子 万年筆初心者の断想」のコメント欄で書かれていたのが下記に引用した文章です。

ブルーブラックインクについてですが、私は普段、昨年の岡山大会でがりぃさんより分けて頂いた古典的ブルーブラックインクを使っています。このインクをシェーファーのプレリュードに入れて使った後、ペンを洗浄したところニブの裏側とペン芯にべったりとインクの滓のようなものがこびりついていました。
 ニブの裏側はペン芯のフィンの跡がくっきりと残っており、黒のペン芯はインクのこびりつきのせいで所々色が変わって見えます。ロットリングの洗浄液を試したことがないので、どの程度までインクが落ちるかわかりませんが、少なくとも、お湯と超音波洗浄の組み合わせではこびりついたインクは落ちなかったので、ブルーブラックインクを入れるペンはよくよく考えて覚悟を決めないといけないことをこの一件で思い知らされました。

Penペン草子 万年筆初心者の断想

古典ブルーブラックインクはインクに含まれる鉄(II)イオンが鉄(III)イオンに酸化されると、タンニン類と水難溶性のキレート化合物を作るので、紙への定着性や耐水性に優れているのですが、ペン先でインクが酸化すれば、インクの滓を生じ、べったりと汚れることになります。水難溶性のキレート化合物ですから、お湯と超音波くらいでは落ち難いということになります。
また、引用文の中に出てくるロットリングの洗浄液*1というのも、元々顔料系インクの洗浄用なので、古典ブルーブラックに対して効果があるか分かりません。

しかし、このインク滓の問題をそのままにしておくと、古典ブルーブラックインクの愛好者が減ってしまうかもしれません。そこで簡便な洗浄方法を考案してみました。まず、自作古典ブルーブラックインクをウォーターマンのクルトゥールに入れて放置します。クルトゥールはキャップの密閉性が悪いので、古典ブルーブラックを入れると覿面に固着してくれるので、試験サンプルを作るのには適しています(^^;

ペン先の裏にはべったり、ペン軸も真っ黒になりました。それでは、お湯を入れて超音波漕に20分漬けてみます。

ある程度は落ちましたが、まだまだ黒いですね。物理的にこすって落とすこともできますが、大変ですし、ペン先やペン軸を傷つけてしまうかもしれません。何より物理的に落とすというのは矜持が許しません、やはり化学的に落としたいものです。大袈裟なことを言いましたが、原理は簡単、酸化して固着したものなら還元すればよいじゃないということです。今回は、万年筆にも人にも優しい還元剤ということで、

これ使います。アスコルビン酸、すなわちビタミンC、飲んでも大丈夫です。

お湯にアスコルビン酸を1%溶かし、超音波漕に20分漬けてみます。

こすったりしなくても、このとおりピカピカになりました。アスコルビン酸を買いに行くのが面倒な人はC1000タケダなんかのドリンクでもよいんじゃないかと思います。炭酸ガスの効果もあって、よりピカピカになるかも、ただしよく洗わないと糖でべたべたするかな(^^;

追記1

実際にC1000タケダを試した方によると、あんまり良くなかったそうです。コンビニで売っているビタミンCのカプセルの中身を溶かしたものは結構良かったとか、やはり糖分など余計なものは入っていない方が良いようです。
またアスコルビン酸を溶かして、置いておくと酸化されて還元能が落ちてしまうのも影響していると思います。粉のアスコルビン酸を購入し、溶かしたらフレッシュなうちに使うのが良いようです。

追記3

某所でアスコルビン酸洗浄には超音波漕が必須、というようなことを書き込まれている方がいらっしゃいましたが、落ちるものに関しては、アスコルビン酸水溶液の吸入排出で十分きれいになるようです。万年筆評価の部屋:月曜日の調整報告 【 Pelikan コンチェルト 18C-B こりゃまた何とも・・・ 】も御参照ください。

どんなアスコルビン酸が良いか購入ガイド的記事です。
pgary.hatenablog.com

古典インクの使い方のガイド的記事です。一番手軽にお試しできるのは、プラチナ プレピーのブルーブラックを買うことです。
pgary.hatenablog.com

*1:ロットリング洗浄液は強アルカリ性で、顔料インクを洗浄するための液なので、古典インクが溶ける酸性とは逆の液性になります。