島根県松江市にあった「中屋万年筆店」の跡です。
森さんの「万年筆評価の部屋」で閉店されたこと*1は知っていましたし、店主の久保勝彦さんも亡くなられたらしい、という話も耳にしていました。
松江を訪れる機会があったので、かつての店を一度見ておこうと思い、足を運びました。

2017年3月刊の「趣味の文具箱 Vol.41」には中屋万年筆店のカラー写真が掲載されています。
営業されていた頃は、庇の上に「中屋万年筆店」と書かれた大きな看板が掲げられていたようですが、現在は取り外されていました。
同誌の記事によれば、久保勝彦さんは当時91歳、1918年創業のお店の2代目とのことです。
中屋万年筆店は、趣味の文具箱でも何度か紹介されています。2004年11月のVol.2では、鳥取の「万年筆博士
*2」と並んで掲載されており、2008年4月のVol.10の古山浩一さんによる「続 万年筆の達人」では、久保さん自身の経歴や人柄に触れられています。
「続 万年筆の達人」には、建物の上部にある「中屋」の文字は赤いと書かれていますが、18年の間にかなり色褪せてしまったようです。
中屋万年筆店跡の近くには、はらぶん パピロ21
*3があります。趣味文 Vol.10でも紹介されており、森さんの「万年筆評価の部屋」でも、掘り出し物を購入された話
*4がよく出てくるお店です。
さすがに、昔のような掘り出し物は残っていないようですが、非売品として飾られている万年筆を見るだけでも十分に楽しいお店です。

この日はそのような様子はありませんでしたが、パピロ21では、久保勝彦さんに弟子入りされていた島根大学の学生さんが、万年筆の調整をされていることもあるそうです。
没頭インタビュー | マイナビ・NIKKEI 学生応援プロジェクト
この方は、オリジナル万年筆の企画・開発をテーマとして、SHIMANEみらい共創CHALLENGEの2025年度U-25アワードにも選出されています。いつか「山田万年筆」が、島根発の万年筆として、販売される日が来るのかもしれません。
www.mat.shimane-u.ac.jp
万年筆といえば、地方都市でもデパートの文房具売り場で取り扱われているイメージがあります。しかし、松江駅前の一畑百貨店は2024年1月14日をもって営業を終了
*5したとのことでした。
駅前の一等地にある立派な建物が、ひっそりと無人で佇んでいる光景には、寂しさを感じてしまいました。