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趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

万年筆用の古典ブルーブラックインクについて、文献を調査し、自分の手で実験してきた記録から、主なものまとめ

文具 自作インク

古典ブルーブラック (古典インク、没食子インク、没食子酸鉄インク、iron gall ink) とは何か?

鉄を含む万年筆用インクである古典ブルーブラックインクについて、文献にあたり、色々な実験をして記事を書いているのですが、自分でも何を書いたか分からなくなることがあるので、ブログのトップに表示されるように未来の日付でここに纏めます。
※ この記事は先頭に来るように未来の日付で書いてあるので、本当の最新記事はこの次です↓

古典ブルーブラックとは?

古典ブルーブラックという言葉をこのブログでは、「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」と定義しています。この定義にあてはまる市販のインクは、メジャーどころでは、ペリカンとプラチナのボトルとカートリッジのブルーブラックインクモンブランのブルーブラックと旧ミッドナイトブルーのボトル、ラミーのブルーブラックのボトルローラー&クライナー(R&K)のサリックスとスカビオサ (没食子インク) になります。また、DIAMINEのregistrar's inkや、英雄などの中国製ブルーブラックの一部も古典ブルーブラックインクです。*1 これらの結果は、ブログで公表した他、趣味の文具箱Vol.16,23に記事を書かせていただきました。

ちなみに古典ブルーブラックという言葉は、2chのインクスレが起源のようです。(古典ブルーブラックという便利な言葉 - 趣味と物欲)

古典ブルーブラックは、そこそこの耐水性・耐光性はある。比較的裏抜けや滲み難い。書いた後の色の変化が楽しめる。昔ながらのインキ消しで消すこともできる。ペンが汚れたらアスコルビン酸できれいに落とせる。そして何より万年筆でしか使えないインクなのです。

機能的な面だけで、古典ブルーブラック不要論をとなえる人もいますが、そもそもそれを言い出したら、何で万年筆使うんだってことにもなりますよね?(^^; それはともかく、個人的にはインクは好みが9割だと思っているので、自分で責任を取る限り、好きなものを使えば良いと思います。

今や空前の!?万年筆ブーム、新しく万年筆の魅力に取り付かれてインク沼に嵌り、古典ブルーブラックに初めて触れたという方も多いと思うので、Q&A形式で疑問に答えてみたいと思います。

古典ブルーブラックに関するQ&A

1. 古典ブルーブラックや古典インクという言い方は間違っているの?

悩ましい問題です:所謂古典ブルーブラックを表す言葉として、パーマネントインク、混合型インク、没食子インク、iron gall ink等々色々な言い方があるのですが、どの言葉もちょっとずつ説明し足りないところがあって、ちゃんと言うなら「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」になり長くなってしまうので、この概念を一言で表すなら「古典ブルーブラック」とか「古典インク」と言うのが便利なのです。
詳しくは、古典ブルーブラックという便利な言葉 - 趣味と物欲をご覧ください。

2. 古典ブルーブラックは怖いインクなの?

いいえ、何事も使い方次第です。基本を知ってちゃんと使えば大丈夫
一口に古典インクと言ってもメーカーによってずいぶん違います。鉄分の多さで比べると、プラチナ<ペリカン<<R&K<<<ダイアミン レジストラーズ という並びで、鉄分が少ない方がペンには優しいですが、鉄分が多い方が耐水性や耐光性は高い。
また、使われている酸の種類が、プラチナやペリカンは硫酸、R&Kやダイアミン レジストラーズは塩酸で、硫酸の方がペンには優しいが、紙には塩酸の方が優しいかな?くらいの違いがあります。*2
総じて万年筆メーカーの古典インクは万年筆への影響が少なくなるように作られているようです。

2.1 ペン先への影響は?
古典インクの酸に耐えるように金ペンになったという経緯はありますが、鉄ペンについてもステンレスの改良が進み、現在の鉄ペン先は古典インクに耐えられます。*3 念を入れるなら硫酸系のプラチナやペリカンの方が腐食性は弱いです。
ただペン先自体は大丈夫でも、ペン先に施された鍍金、ペン先に近い所にある飾りリングや金属部分は腐食されることがあるので、気をつけてください。

2.2 紙への影響は?
没食子インクで書かれた昔の文献で、インク焼けという虫食いの様になる現象が知られています。*4 その原因として、硫酸と鉄イオンが考えられていて、硫酸の代わりに塩酸にすることはできますが、鉄イオンに関しては古典インクを使う限り避けては通れません。ただ、保存性が高い最近の中性紙でも同様の現象が起こるかは分かりませんので、数十年後にどうなっているか検討課題でしょうか。*5

古典インクが怖いなら、顔料やラメ入りインクだって別の意味で怖いです。怖い怖いといたずらに恐れるのではなく、何に気をつければ良いのかを知り、最後は自己責任だと割り切ってインクは好みが9割だと好きなインクを楽しみましょう。

3. 古典ブルーブラックでできる沈殿物や黒い滓は酸化鉄なの?

いいえ、「タンニン酸あるいは没食子酸と鉄(III)イオンのキレート化合物」です。長いので、短く表記するなら「没食子酸鉄」とするのがよいでしょう。こちら(古典ブルーブラックインクの黒の色は鉄の錆の色? - 趣味と物欲)の実験結果もご参考にされてください。酸化鉄 (wikipedia:酸化鉄) とは別の物質です。

4. 古典ブルーブラックのアスコルビン酸洗浄法とは?

このブログで2010年に世界で初めて公開された、安価で安全で効果的な古典インクの洗浄法です。*6
古典インクがペン先等で固まった時に出来ているのは、鉄(II)イオンが酸化された鉄(III)イオンとタンニン酸あるいは没食子酸がキレート化合物を作り水に溶けなくなったものですから、還元してやることで水に溶けるようになります。酸性にするだけでも効果はありますが、還元性+酸性+キレート能があり安全性も高いアスコルビン酸 (ビタミンC) が現状ではベストだと思います。
薬局やドラッグストアで購入できる局方品もありますが、食品添加物グレードのもので十分です。大袋で購入して余った分は、料理に使ったり、飲物に混ぜて飲んだりするのがコストパフォーマンスは高いです。
どうしても洗浄に使う分だけ購入したいという時は、コンビニ等でDHCのビタミンCカプセルを購入し、カプセルを開けて中の粉末のみ溶かして使うという方法があります。
なおビタミンC入りの飲料など液体として売られているものは効果がほとんど無いようです。

DHC ビタミンC(ハードカプセル) 60日分 120粒

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5. ペリカンのブルーブラックは古典インクじゃなくなるの?

現時点ではいいえ、ラミーやモンブランの例があるのでこれから先のことは分かりませんが、少なくとも現状、定期的に話題になる「ペリカンBBが古典じゃなくなった」という話は、一部販売店の誤解による誤報のようです。
一部販売店の言っていることに、ラミーやモンブランが事前アナウンス無しに古典インクを染料に変えたこと、ペリカンBBが米国で販売できなくなっていることが信憑性を増して、流布している噂にすぎません。
この噂が出るたびに、関東、関西方面の方にご協力いただき、二価鉄試験紙で確認していますが、販売店が染料と言って売っていたロットも古典ブルーブラックでした。
pgary.hatenablog.com
また、ペリカンBBが米国で販売できないことから、古典インクが米国で販売できない、ペリカンBBに危ない成分が入っているという誤解がありますが、「米国のTSCA (有害物質規制法) の既存品目リストに載っていない物質がペリカンBBに入っているため、使うには申請と審査が必要になるが、費用もかかるため販売しないことにした」ということではないかと考えています。
古典インクの主要成分については、TSCAのリストに載っていますので、それ以外の成分です。
pgary.hatenablog.com

正直なところ、耐水性、耐光性、耐薬品性が必要な用途では、水性顔料ボールペンをお薦めします。ちなみに私はユニボール VISION ELITEユニボール アイユニボール VISION ELITE、油性顔料ボールペン ぺんてる ローリーなどを使ってきて、最近はユニボール シグノ 307です。

↓↓ もっと古典インクについて知りたくなった人はここをクリックして続きを読む ↓↓

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その後のGPD WIN アクティベートが無効になったので自前のライセンスを入れた。

ガジェット パソコン

その後のGPD WINの話
pgary.hatenablog.com
だいたいの設定は以前書いたWindows10の設定記事に準拠し、不要なものは極力消す軽さ重視設定とした。アニバーサリーアップデートも普通にダウンロードされて、インストールもされてしまった。ストレージが64Gあると余裕だ。
pgary.hatenablog.com
CorvusSKKを入れたのもポータブックと一緒、GPD WINのキーボードは極小キートップだけど並びは一般的で、Aの横にCaps、Shiftキーも左右にあり、SKKで使うのに何ら問題はない。
pgary.hatenablog.com
ポータブックに無い設定としては、ジョイスティックの設定を色々といじれる「JoyToKey」を入れた、シェアウェアフィーもVector経由で支払い済み。
JoyToKey 公式ホームページ - 最新版をダウンロード
JoyToKeyの詳細情報 : Vector ソフトを探す!
そんなこんなで設定が終わったころに、Windowsのライセンスが無効になった。
GPD WINのライセンスはそもそもアクティベートできない場合と、アクティベートされても無効になる場合があるようだが、私は後者で、一旦はアクティベートできていたものが、「このプロダクトキーは他のPCで使われています。」という表示が出て無効になった。
GPDに連絡すると、新しいプロダクトキーがメールされてくるらしいのだが、そもそもそれも正規のプロダクトキーなのか怪しいので、自前でパッケージ版を用いアクティベートした。
この件、Makuakeで代理店をやっている緑屋電機によると、

原因は同封されているWindows10の「キーラベル」の誤記とのことでした。該当するサポーター様へはGPD社より新規ライセンスキーを発行させて頂きます。
https://www.makuake.com/project/gpd-win/communication/detail/66871/

ということで、私の場合、重複して印刷されたプロダクトキーが当たったということだろうか。

趣味の文具箱 Vol.40はkindle版も買いました。

紙の雑誌は2日遅れなので、そろそろ店頭に並ぶ頃だと思いますが、待ち切れずにkindle版も購入しました。勿論、紙版も購入予定です。
インクのデータを出先で確認したくなることがあるので、粘度、表面張力、色相など、これまでに蓄積されたデータも含めて掲載されている本誌は、そんな用途にうってつけです。
ジェントルインクのブレンド、顔料インクの耐水性、紙と組合せた時のにじみとその楽しみ方など色々な切り口でインクの魅力を語っており、インク沼ドボン間違いなしの危険な本でもあります。

今回、趣味の文具箱のkindle本を検索して気づいたのですが、バックナンバーから、それぞれモンブランペリカンの記事を抽出したバックナンバーセレクトというkindle本が出ています。

たためるパソコンに更に重ねてみた (GPD WINなんですけどね)。

それは壮大な序章に過ぎなかったのか、、、INDIEGOGOで出資してワクテカして待っていたら、まさかの後から始まった中国のクラウドファンディングから先に出荷開始からの、IGG分の出荷も終わっていないうちに、IGGと対して変わらない価格での一般販売開始で、Amazonでも売ってたりして、そちらの方が先に手に入るのコンボをくらい、いや少なくとも物は出来ているんだ、モルヒーモルヒーと呪文を唱えて心を落ち着かせていた心の隙間に突き刺さったのがポータブックでした。
https://www.indiegogo.com/projects/gpd-win-intel-z8700-win-10-os-game-console-laptop#/
pgary.hatenablog.com
とりあえず重ねてみた。
f:id:pgary:20161201190701j:plain
無事に着いたといっても安心してはいけない。キーの配置が間違っていたり、組立が強引でお腹が膨らんでいたり、品質にばらつきがあるそうなのです。
パッケージは最近のはやりなのか、何となく似ています。ポータブックはパソコン本体がゴム風コーティングですが、GPD WINは箱にゴム風コーティングが施されています。何故そこに凝る^^;
f:id:pgary:20161201190945j:plain
キーの配置や筐体の歪み等は無かったのですが、箱を開けると同じマークの箱が二つ!?
f:id:pgary:20161201191132j:plain
やっぱりどちらもUSB-ACアダプタでした〜^^;
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本当なら下記のページの画像の様にもう一つの箱にはUSB-Cケーブルとイヤホンが入っているのが正解なようです。
b00t's noteb00k!: GPD WINが届いた!!!
このアダプタ、5V, 2.5AでRaspberry Pi 3に良さそうなので、まあアダプタ二つでもいいんですが。
ポータブックと同じ感じで設定を進めますが、GPD WINはポータブックとCPUが同じで、メモリとストレージは4Gと64Gと倍あるので楽かな。
pgary.hatenablog.com

www65.atwiki.jp

ペリカンジャパンが染料と言ってもAmazonで購入したペリカンのブルーブラックインク(16D)は古典インクでした。

万年筆インク

ペリカンの4001 ブルーブラックインクが古典インク(没食子インク)から染料インクに変わる、変わった、変わるかもという話は何度も何度も蒸し返される話です。
何のアナウンスも無く染料インクに変更したLAMYとモンブランの例がありますから、ペリカンについても安心はできないと思いますが、伊東屋丸善の店員さんが「ペリカンBBは染料インクである」と断言されていた2015年8月の時点でも、調べてみると古典インクのままでした。
そのあたりの経緯は過去の記事に詳しく書いています。

その節は、DiTさん、tisotopeさんにはお世話になりました。
それから1年と3ヶ月程過ぎ、Lorenzoさんより情報をいただきました。


下記がそのAmazonのレビューを引用したものです。

5つ星のうち 1.0 ウソの情報, 2016/11/21
投稿者 Amazon カスタマー
レビュー対象商品: ペリカン ボトルインク ブルーブラック 4001/76 正規輸入品 (オフィス用品)
4001買ったが、1週間後の水流実験実験では見事に消え去った。古典没食子ではないのである。ペリカンジャパンもうちでは古典であると謳えないという回答を得た。16年11月現在そうなっている。でもネット上の記事ではこのレビュウの一人の以外はみんな古典だと書いている。
訂正と、認識をあらたにしてほしい。
Amazon.co.jp: ペリカン ボトルインク ブルーブラック 4001/76 正規輸入品の Amazon カスタマーさんのレビュー

「消え去った」と書かれているし、「ペリカンジャパンの回答を得た」と書かれているので、これは本当に染料に変わったのかもしれないと、私もAmazonのこのページから購入して調べてみることにしました。
f:id:pgary:20161128181521j:plain
結果から言うとまったくの杞憂でした。
f:id:pgary:20161128181615j:plain
ロットは16D、2016年の4番目のロットということだと思います。
f:id:pgary:20161128181653j:plain
画像中央に並べているのが二価鉄試験紙を用いた鉄イオンの検出結果で、左下の画像は筆記したものの右側を水に浸漬したものになります。
左下の試料は、筆記後10分もしないうちに水にたっぷり浸漬してみましたが、筆記線は十分残っており、消え去るということはありませんでした。
f:id:pgary:20161128185327j:plain
二価鉄試験紙は二価鉄イオンと反応して赤く変色する試験紙です。細く短冊状に切り、一端にインクを付けて展開します。左側はペリカンBB(16D)の原液を展開したもの、右側は5倍に希釈した液を展開したものです。
原液のままだと、添加された青の色素がかぶって分かり難いのですが、展開されたインクの先端付近が赤くなっているのが分かります。希釈すると更に色の変化が分かりやすくなります。
というわけで、、、ロット16DのペリカンBBはまだ古典インクでした!
どうも、ペリカンジャパンの公式見解が「ペリカンBBは染料」ということになっていて、その情報が伊東屋丸善の店員さんと共有されるものだから、この話が繰り返されるのだと思います。
ちなみに本家ペリカンのページだと下記の様に書かれています。

4001 blue-black
The least complicated ink which is still relatively light resistant, is the ink "4001 blue-black", our item no. 310 607. This ink contains iron gall, which makes it much more resistant than for example the ink shades 4001 royal blue or 4001 brilliant black, but due to the addition of special ingredients, you can still use this ink without qualm in piston or cartridge fountain pens. Within time, the ink will change its tone from blue to gray, but it will remain visible. It is not quite as light resistant as the Fount India. Due to the small concentration of iron gall, this ink will not damage your paper (which sometimes happened with historic ink made of iron gall.)
Document Proof Ink

上の英文から読み取れることから想像してみると、現在も売られているもので言えば、ダイアミンのレジストラーズインクの様な鉄量が多い古典インクに比べると、ペリカンBBは鉄量が少ないことから、ペリカン本家は古典的な没食子インクでは無いと言っているのを、ペリカンジャパンで訳し損ねて、「古典インクではない → 染料インク」と誤解されたのかもしれません。
pgary.hatenablog.com
ワタリ・ニンジャさんにもご協力いただきご確認いただきました。


トトメスさんのページでは本家ペリカンのドイツ語版ページの情報から、没食子インクであると確認いただきました。
thutmose.hatenablog.com