趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

DICデジタルカラーガイドは万年筆インクの調色に便利なアプリ

プラチナのミクサブルインクやクラシックインク マイカラーなどを使って、万年筆インクの調色をする人は、「DICデジタルカラーガイド」というアプリが便利です。
www.dic-graphics.co.jp
iPhoneiPadで使えて、App Storeで「カラーガイド」で検索すると出てきます。

開くとこんな画面になり、大量の色見本の中から色を選択できます。サブスクリプションという項目もありますが、無料分だけでも万年筆インクの調色の参考に使うには十分です。

例えば日本の伝統色を選ぶと、色見本がずらっと並ぶので、一つ選んでみます。

DIC-N847という色を選ぶと、この色は「常盤緑」という色で、その由来も詳しく教えてくれます。
次に円柱型のアイコンを選ぶと、紙の種類や加工パターンを選んで円柱形の色見本を動かしながら眺めることができます。

更にインキ配合情報を開くと、どのインキを混ぜれば、この色を作れるのか分かります。
DICの印刷用インキの情報なので、このまま使えるわけではありませんが、調色をする時の目安とするには有益な情報です。

薔薇色だと、こんな感じの配合

私が以前、古典インクのピンク色を調色してみたときは、薔薇色の情報を元に、シトラスブラックとカシスブラックを混ぜて作りました。
pgary.hatenablog.com

ミクサブルインク | プラチナ万年筆

趣味の文具箱掲載の万年筆インク数の変遷まとめアップデート Vol.68まで

趣味の文具箱 vol.68 2023年1月号を購入しました。64号以来1年振りとなるインク特集です。
64号の1077色から32色増の1109色が折り込みのペン&インクブランド 万年筆インクカタログに掲載されています。
それ以外に記事中で紹介されているインクもありますから、実際はもっと多くのインクが掲載されていることになりますが、数えるのが大変なので表紙に公式に書かれている数値を採用します。

これまでの趣味の文具箱掲載インク数の変遷をまとめたグラフと表です。
指数関数的に増えていっていたのが、少し落ち着いてきたように見えますが、実際には御当地インクなどインクカタログに掲載されていないインクが大量にありますので、ビックバン的に増えていると思われます。

号数 趣味文
発行日
インク
掲載数
備考
9 2008/1/30 208
14 2009/8/10 207 高橋良香 氏によるLab測定開始
21 2011/12/20 14号に追加
25 2013/3/20 21号に14色追加
28 2013/12/20 25号に58色追加
32 2014/12/20 431 28号に33色追加、6色削除
36 2015/12/10 470
40 2016/12/10 539 36号に56色追加
44 2017/12/20 602 40号に34色追加、デルタを削除
47 2018/9/20 747 44号に135色追加、2色削除
51 2019/9/5 1517 ペン&インクブランド804色、ショップオリジナル713色
INK 2020/5/8 2000 INK 万年筆インクを楽しむ本
55 2020/9/7 965 ペンブランド369色、インクブランド596色
59 2021/9/6 1017 ペンブランド374色、インクブランド643色
INK 2022/5/9 2500 INK CATALOG 万年筆インクを楽しむ本
64 2022/12/7 1077 ペン&インクブランド 万年筆インクカタログ
68 2023/12/13 1109 No INK, No Life

クロスの万年筆用ボトルインク ブルーブラックの現行品は染料インクでした

クロスのブルーブラックも古典インク (没食子インク) らしいという話を聞いたので、通販で購入しようとしたら軒並品切れ、そうこうしているうちにAmazonの在庫が復活したので購入しました。

これまでの趣味の文具箱の記事ではどうなっていたか確認したら、vol.16「古典ブルーブラックインク研究」の二価鉄試験紙による試験ではクロスのブルーブラックは試験していませんでした。

また、vol.47「万年筆インク222色のpHを徹底測定!」でもクロスのインクは試験されていませんでした。

瓶の裏にMade in Chinaと書かれていました。

趣味の文具箱 特別編集 「INK 万年筆インクを楽しむ本」によると2017年にデザインを一新し、現在の四角いキャップにライオンがデザインされたものになったそうです。

二価鉄試験紙で試験してみました。二価鉄試験紙はインク中の鉄(Ⅱ)イオン (二価鉄) と反応して赤く発色します。
古典インク (没食子インク) のペリカン ブルーブラックをポジコン、染料インクのパイロット ブルーブラックをネガコンとして同時に試験しています。

クロスのブルーブラックは赤く発色しておらず、鉄(Ⅱ)イオンを含まない染料インクだと考えられます。
2017年以降の中国製で四角いキャップのクロスのブルーブラックは染料インクのようです。

以前のクロスのボトルインク、例えば、趣味の文具箱 vol.1で確認できるボトルはペリカンと同じ形状ですし、インクの筆記見本の色もペリカンのブルーブラックとよく似ていますから、以前のものは古典インク (没食子インク) だったのかもしれません。

以前のクロス ブルーブラックが手に入れば、また試験してみたいと思います。
pgary.hatenablog.com