内科医が風邪について書く、という元エントリーは内科医の先生が書いているだけに非常に良くまとまっているのだが、一つだけ気になった点があった。
解熱鎮痛薬には胃薬が混ぜてある(市販の「バファリンの半分はやさしさ」だけど、病院のバファリンには「やさしさ」は入ってないので、胃薬とセットで出てくるでしょ?)。
病院のバファリンにも優しさの成分は入っている。それがダイアルミネートという成分で所謂制酸剤である。アスピリンはその作用機序上どうしても消化管障害の副作用が懸念されるので、制酸剤で胃障害を抑制しているのである。ダイアルミネートはH2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターに比べると、そんなに強力な薬ではないので、患者さんの状態によっては胃薬とセットで出すことがあるのだと思う。
こちらが所謂病院のバファリン、バファリン330mg錠の組成
本剤は1錠中アセチルサリチル酸330mg,ダイアルミネート(アルミニウム グリシネート50mg及び炭酸マグネシウム100mg)150mgを含有する.
添加物として,トウモロコシデンプンを含む.
市販のバファリンのラインナップからは無印のバファリンは無くなっていた。昔のOTCのバファリンは病院用と同一成分だったのだが、現在販売されているもので一番処方が近く後継と言えるのは、バファリンAのようだ。
アセチルサリチル酸 ・・・ 330mg
ダイバッファーHT(合成ヒドロタルサイト)・・・ 100mg
制酸剤のダイアルミネートをダイバッファーHTに代えて、錠剤を小さくしている。最近は飲みやすさを向上させるために処方を変更して錠剤を小さくすることはよく行われている。地味な改良だが、飲みやすさの改善のためには有効な改良方法である。
他にもバファリンと称する市販の製剤として、バファリンプラスやバファリンルナがあるが、
アセチルサリチル酸・・・250mg
アセトアミノフェン・・・150mg
無水カフェイン・・・60mg
アリルイソプロピルアセチル尿素・・・15mg
イブプロフェン・・・65mg
アセトアミノフェン・・・65mg
無水カフェイン・・・40mg
アリルイソプロピルアセチル尿素・・・30mg
こちらには優しさの成分は入っていないようだ。
また、蛇足になるが、病院にある小児用バファリンと市販(OTC)の小児用バファリンでは成分が異なる、前者はアスピリンだが後者はアセトアミノフェンである。
元エントリーにもあるように、
一応、インフルエンザと解熱剤アスピリンの組み合わせで、子供限定と言われているが「ライ症候群」という恐い合併症もあるので、安全を重視する医者はアセトアミノフェンを処方する。
ということがあるので、そのあたりをDr.が判断して投薬できる病院用はアスピリン、市販薬はアセトアミノフェンを成分としている。
ちなみに血栓形成の抑制に、以前は病院用の小児用バファリンを用いていたが、これは低用量アスピリンによる抗血小板作用を利用したものであり、現在は専用のバイアスピリンが使われている。当然市販の小児用バファリンはアスピリンを含まないので、血栓予防効果は期待できない。また、病院用の小児用バファリンはダイアルミネート(制酸剤)を含むが、バイアスピリンは制酸剤を含まない。バイアスピリンはその名前から類推できるとおりバイエル製薬の製品だが、市販のアスピリン製剤でバイエルアスピリンというのがあり、これにも制酸剤は含まれていない。
はてブのコメントを見ると、「病院のバファリンには「やさしさ」は入ってないので、胃薬とセットで出てくるでしょ?」というところに納得されている方もいらっしゃるみたいですね。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//anond.hatelabo.jp/20081207174535
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