趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

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I can make an iron gall ink a little

色彩雫の山栗を購入したので、パイロットインキをペーパークロマトで分析してみる。

新しく発売された色彩雫の3色、冬柿、土筆、山栗、どれも良い色なので悩んだのですが、一番普段使いしやすそうな山栗を天神の丸善で購入しました。色彩雫のお試しセットに、新色はまだ入っていなかったのですが、店頭で配布されている色彩雫の小さなカタログは、新色も入った新しいものになっていました。銀座の伊東屋では、プレラに詰めて独自にお試しセットを置いているそうです、さすがは伊東屋
持っているパイロットインキを全て、かぶらペンの付けペンで並べて書いてみました。

山栗はかなり黒っぽい色で、鉄輪セピアによく似ています。かなり黒ですが、若干赤みを感じます。サンプルの作り方や写真の撮り方でインクの色は結構違って見えますので、山栗の色サンプルがある他のサイトへリンクを貼っておきます。

パイロットのインキと言えば、耐水性には定評があります。本当は実際の使用状況を鑑みて、霧吹きなどで軽くかけるか、雫を垂らすかした方がよいのでしょうが、思い切って、じゃばじゃばと水をかけ流してみました。

色によって、ほとんど流れないもの、流れやすい成分が流れていくもの、色々違いはありますが、どの色も可読性を保っているのは流石です。更に各色のペーパークロマトグラフィを行いました。条件は、以前から使っている、ペーパークロマト用濾紙を担体に、70%エタノールを移動相に使ったものです。

ペーパークロマトの結果を見ると、どの様な色の成分で作られているのかが良く分かり、自分で調色するときの参考にもなります。山栗には第一印象どおり、赤の成分が多く含まれていることが分かります。また、山栗には黄色の成分も多く含まれていますが、Blackにも少し黄色の成分が含まれていることから、黒っぽい色を作るためには、黄色の成分が使われることが分かります。シアン、マゼンタ、イエローの色の三原色を混合し、可視部の広い範囲の波長を吸収することで黒を作るのですね。
パイロットのブルーとブルーブラックは、ほとんど同じ青系の色素が使われており、BBはそれに加えて少しだけ、黒の成分が原点付近に見えます。BlueとBBはどちらも耐水性が高いことが知られていますが、色素の種類がほぼ同じなので、同じ様に耐水性が高いことが納得できます。冬将軍は、BBと同様の青系と黒系の色素が含まれているのですが、BBに比べて青を減らし、黒を増やしたものだと考えられます。冬将軍が水に強いというのも納得できる結果です。【非本業】vw3gのブログ 2本目【趣味】:【PILOT】色彩雫「冬将軍」
紺碧と松露も似た様な色素が使われていますが、松露には黄色が添加されており、青と黄色の混色で緑っぽくなっていることが見てとれます。
自分で万年筆用インクを自作することを始めてみて、改めてパイロットのインキの凄さを実感しています。それは、「パイロット・ブルーブラック」インク 僕の信頼度120%:pen-styleで書かれているような、インキ自体の性能やコストパフォーマンスの高さもさることながら、インクを開発する際にとった方法、方向性が凄いと思うのです。
万年筆用の古典的なブルーブラックインクや付けペン用の古典的なカーボンインクが既に存在し、インクが詰まる等のトラブルがある中で、万年筆への安全性を考えて、耐水性を捨て、色のバリエーションや書き味などの要素で勝負するというのも一つの方法でしょう。古典的なブルーブラックインクの処方を改良し、安定性を増すというのも一つの方法でしょう。粒子径を調整することで、万年筆で使用可能なカーボンインクや顔料インクを開発するというのも一つの方法でしょう。
これらの解決策は、今まで存在したものの改良という手法で、実際に開発する困難さはさておき、解決方法の方向性としては予測しやすいものだと思います。しかし、パイロットのアプローチは染料インクでありながら、耐水性を持ったものを開発するという手法でした。これは、万年筆インク界にパラダイムシフトを起こす手法であり、未だ他社の追随を許さないパイロットの凄いところだと思います。

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