趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

万年筆をインクで洗ってなじませる方法に関する趣味文の記事を調査

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「調子の良い万年筆を洗浄するもんじゃない」という記事を書いた時、頭の中に浮かんでいたイメージとして、万年筆の製造工程で、ペン芯を大量に籠の中に入れて、液体に漬けられているというのがありました。
pgary.hatenablog.com

何の本で見たのか気になって、万年筆系の本や雑誌を一つ一つ確認していったのですが、万年筆の製造工程で、ペン先にスポットを当てているものは多くても、ペン芯に着目しているものは、ほとんどありませんでした。
そんな中で、私の脳内イメージの画像は、趣味の文具箱 Vol.6の29頁にありました。

セーラー万年筆の製造途中で行われる、「ペン芯のざぶ漬け」という工程で、ペン芯をクロム酸カリウムと水を配合した液体に一定時間漬け、ペン芯とインクのなじみを良くするための工程と説明されています。
最近では環境への影響を考慮してあまり使われていないと思いますが、クロム酸カリウムで洗浄すると言えば、実験用ガラス器具等の洗浄に用いるクロム酸混液が思い出されます。セーラーのこの工程も、ペン芯に付着している油や有機物など水をはじく汚れを完全に除去するために行われているのだと思います。

一方、趣味の文具箱 Vol.8には、「ペンの達人になるための万年筆の作法と流儀」という記事があり、取材協力として、セーラーの川口氏、フルハルターの森山氏、ユーロボックスの藤井氏、ペリカン日本の名前があげられています。
この記事の116頁「洗う水について」という項目の中に、下記の画像が掲載されています。

「ペン芯のざぶ漬け」と同じ画像なので、これはインク成分でなじませている工程ではなく、ペン芯を完全に洗浄している工程だと考えられます。
しかしこの項目の文章には、

ヘビーユーザーの中には「万年筆はインクで洗う」派が多い。同じ銘柄のインクを使い続ける場合に限るが、ペン芯は長い時間同じ成分のインクに浸っていると「なじみ」が生まれる。「きれいにするよりなじませる」方法もあるのだ。

と書かれており、これは私が「調子の良い万年筆を洗浄するもんじゃない」という記事に書いたことと、同じことを言っています。

これらの記事を見る限りでは、万年筆の製造工程に、ペン芯をインク成分でなじませる工程は確認できませんでしたが、少なくとも取材協力をされている中のどなたかが、「きれいにするよりなじませる」方法もあるという旨の発言をされたのではないかと思われます。また、万年筆ヘビーユーザーの中では、ある程度説得力のある方法として、「万年筆をインクで洗い、なじませる方法」が知られていたのではないかと思います。