趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

ヌルリフィルに万年筆で書いた文字を次亜塩素酸ナトリウムで消去してみる。

ヌルリフィルは、pen_saloonさん*1が開発された、ユポ紙*2という合成紙を使ったリフィルです。万年筆のすべりがよくて、ヌルヌルと気持ちよく書けるのが特徴です。
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まず色々な種類のインクでヌルリフィルに書いてみました。上から、顔料インクのセーラー 蒼墨、染料インクですが耐水性が高いことで有名なパイロット ブルーブラック、古典インクのプラチナ ブルーブラック、染料インクでヌルリフィルで遊色することが有名なセーラー 123、セーラー石丸さん調製のBUNGU BOX 初恋インクです。
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ヌルリフィルは合成紙で水に強いので、文字を洗って再利用できないか試している方がいらっしゃいます。私もまずは水だけで洗ってみましたが、どのインクも結構頑張って残っています。プラチナの染料分、セーラー 123と初恋は結構流れましたが、まだ十分判読できます。
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そこで次亜塩素酸ナトリウムで処理してみました。今回用いたのは、ミツエイ株式会社のブリーチという衣料用漂白剤で、成分は次亜塩素酸ナトリウム水酸化ナトリウムのみです。
次亜塩素酸ナトリウムの商品では、花王のハイターが有名ですが、衣料用のハイターの成分は、次亜塩素酸ナトリウム水酸化ナトリウムのみなのに対して、台所用のキッチンハイターには、それ以外に界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)が含まれているので注意が必要です。
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ブリーチは説明書きのとおり100倍希釈し、15分間ヌルリフィルを浸漬しました。
漂白剤ですから、染料インクは消えるだろうと予測していたのですが、それよりも古典インクのプラチナ ブルーブラックの方がよく消えたのは意外でした。顔料インクの蒼墨は勿論、びくともしていません。
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ブリーチの液性はアルカリ性で、古典インクの耐水性成分であるタンニン酸鉄や没食子酸鉄が溶けやすい酸性とは逆のpHです。
プラチナ ブルーブラックが消えた跡に、没食子酸水溶液を綿棒で塗ってみると、筆跡が浮かびあがってきたので、鉄分は残っているようです。次亜塩素酸ナトリウムでタンニン酸が分解して色が消えたのかもしれません。
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もう一度文字を書けるか、プラチナBBと123で書いてみたら普通に書けました。ヌルリフィルの表面も変化している様子はありません。
今回試したインクの中ではプラチナ ブルーブラックがヌルリフィルとの組み合わせで、ヌルリフィルの再利用に適しているようです。

没食子インクという用語を真面目に考えてみた。

 本ブログでは、「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」と定義している所謂古典ブルーブラック (古典インク) のことを海外では一般に「iron gall ink」と言う。
 「gall」には、苦いもの、胆汁、植物の瘤などの意味があるが、この場合、植物の虫瘤から取れる苦い液、つまり「タンニン」全般のことを指していると考えられる。よって、iron gall inkの訳としては、「鉄タンニンインク」あるいは「タンニン鉄インク」あたりが妥当ではないかと思うのだが、「没食子インク*1」という訳をあてることが多いようだ。
 「没食子*2」というのは、ブナ科の植物の若芽にインクタマバチが産卵してできた虫瘤のことで、iron gall inkを作るのに適したタンニンを多く含んでいる。一方日本では、「五倍子*3」というヌルデの葉にヌルデシロアブラムシが寄生した虫瘤から取れるタンニンを使っていた。
 「没食子インク」を狭義の意味でとると、没食子から抽出したタンニンを用いたインクの意味となるが、iron gall inkの訳として広義の意味にとらえると、古典インクと同様に「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」のことを指していると考えることもできる。
 しかし訳としては、没食子の印象が強く、また、もう一つの重要な成分である鉄が消えてしまっているのも問題である。やはりここは「タンニン鉄インク*4」もしくは最近日本では一般に通じるようになった「古典インク」という用語を推したい*5
 ちなみに、「タンニン」ではなく「タンニン酸*6」というと、グルコースに没食子酸が結合した化合物のことになり、「没食子」ではなく「没食子酸*7」というとベンゼン環に水酸基が3つとカルボン酸が1つ付いた3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸のことになる。
 パイロットの「インキと科學」では、タンニンとして、タンニン酸のみ含むインクを「タンニン酸鉄インキ」、没食子酸のみ含むインクを「没食子酸鉄インキ」、タンニン酸と没食子酸を配合したインクを「タンニン類鉄インキ」と区別して記載しています*8

 このあたりの話は、趣味の文具箱 Vol.23に書きました。

*1:没食子インク - Wikipedia

*2:もっしょくし、または、ぼっしょくし

*3:ごばいし

*4:タンニン鉄インクというのもよいけど、タンニン酸鉄インクという人が出てきそうだし、、、となるので、やはり古典インクというのが便利だと思う

*5:海外ではiron gall inkといえば通じるだろう

*6:タンニン酸 - Wikipedia

*7:没食子酸 - Wikipedia

*8:厳密にいうと、タンニン酸が加水分解すると没食子酸ができるので、タンニン酸のみ含むインクでも若干の没食子酸を含むと考えられますが、ややこしくなるので深く追求はしません

とりあえずMojaveにアップデートしてみた。ScanSnap S1500Mがサポート終了していたけど一応使えている。

Mojaveへのアップデートが終わりました。再起動すると画面のモードをどちらにするかだけ聞かれたので、ダークモードを選択、それ以外設定でいじったところはありません。
ぱっと見、デフォルトの壁紙が変わったな、くらいの印象。
AquaSKKを用いた日本語入力は問題無くできます。
pgary.hatenablog.com
今のところ、ScanSnap Managerのアイコンが画面右上に出なくなったのが気づいた点、不具合というより、「対応予定だけど、まだ対応していない」というだけの話。ただ自分の使っているS1500Mは、「サポート期間が終了しております。macOS Mojave v10.14 へ対応の予定はございません。」とアナウンスされていた。
faq.pfu.jp
ScanSnap Managerを起動して、Dockにアイコンがある状態で書類を読み込ませてみたら使えたので、まだS1500Mを使い続けられそうではある。