趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

古典ブルーブラックと万年筆と私 8 乱離篇

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聿竹さんからの依頼

2018年11月に聿竹さんからTwitterのDMで青色1号古典インクを分けて貰えないかと連絡がありました。聿竹さんと言えばヌルリフィルで有名です。ヌルリフィルの商標登録ができたので、その記念として泉筆五宝展に並べたいとの依頼でした。
聿竹年萬 : 万年筆とヌルリフィルの部屋|Pen_Saloon
その少し前に、WAGNERインクの新色として青色1号古典インクを海老沢さんに提案したのですが、既存WAGNERインクユーザーへのフォローのため、これまで作った色を優先させたいとのことで浮いた形になっていました。
また聿竹さんは、耐水性のヌルリフィルと古典インクを組合せれば、水に濡れても大丈夫だし、インク焼けも克服できるというアイデアをお持ちだったので、協力できると面白いと思いました。

プラチナに相談する

自分が面白いと思っても、道義上、プラチナに話を通さないと動けません。また、古典インク調製は、万年筆コミュニティへの恩返しであり、商売にはしたくないというスタンスは崩したくなかったので、聿竹さんには、趣味の同人活動であるという点を確認しました。
プラチナの中田社長に趣旨を説明してお願いしたところ「プラチナの保証やお墨付きは付けられませんが、ユーザー様サイドで楽しまれていることは結構なことだと思います」と快くご承諾いただけたので、聿竹さんと話を進めることにしました。

喜望峰の誕生

青色1号古典インクを、2月の泉筆五宝展に合わせ、2019年1月に5L調製して送りました。
青色1号古典インクに「喜望峰」という名前がついて、素敵なラベルとパッケージが施されました。聿竹さんは、自分は何も作っていないと謙遜されますが、聿竹さんのマネジメント能力があって初めて完成し、人気を博したものと考えています。
予約分ですぐに無くなってしまったということなので3月に追加で1L、10月の泉筆五宝展に合わせて、2019年9月に5L調製しました。

神戸ペンショーで喜望峰を見守る

デコカクノで有名なericさんのブースで喜望峰が委託販売されるとのことなので、2019年11月23日の神戸ペンショーを見に行きました。ペントレーディング東京や泉筆五宝展等のイベントには参加したことが無かったので、自分で調製したインクが目の前で売れていくのを見るのは初めてだったと思います。
また喜望峰の通販にご尽力いただいた、てりすてmk2さんにもご挨拶することができました。私と聿竹さんを繋ぎ、喜望峰の瓶への充填にご尽力いただいている、しゅんさんにもいつかご挨拶したいと思っています。

そんな先のことは分からない

正月休みを使えば少し時間があるので、2019年12月に必要なら作りましょうか?という話はしたのですが、まだ在庫に余裕があるとのことで調製は見送りました。
その後1月22日に完売したので再度調製を依頼したいと連絡をいただいたのですが、調製について聿竹さんと打合せをしていると、これは同人活動なのだろうか?という点について、自分の気持ちに折合いがつかないものを感じたので、少し考える時間をいただくことにしました。

同人活動って何だろう

同人活動の定義は人それぞれ違うような気がして、自分が納得できる同人活動って何だろうということを考え続けています。
別に嫌儲主義というわけじゃなくて、人件費や手間を度外視して安くするより、ちゃんと技術には価値を付けて対価を受け取った方が、結果的に万年筆メーカーの迷惑にならないと考えています。
じゃあ何が商業と同人の境目なのか胸にストンと落ちるものを探しています。この一連の記事もそのために書きましたが、まだ見つかりませんでした。

とりあえず今は

聿竹さんへの道義的に、喜望峰と同じインクは聿竹さん以外とは作りませんので、次回喜望峰は胸にストンと来る同人の定義が見つかるまでお休みさせてください。

ごめん、聿竹。ごめん、みんな・・・