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「マイ・コンピュータ入門 コンピュータはあなたにもつくれる」のこの文章が好き

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「マイ・コンピュータ入門 コンピュータはあなたにもつくれる」は昭和52年(1977年)3月に発行のブルーバックスです。
NECからマイコンの組み立てキットTK-80が出たのが、1976年8月、個人で所有できるコンピュータがパソコン(personal computer)ではなくマイコン(my computer)と呼ばれていた時代です。TK-80は剥き出しの基盤に、16進数字用のキーボード、電卓みたいな7セグメントLEDの8桁の表示ができるだけでした。
一方アメリカでは、この本の2ヶ月後の1977年5月にApple][が発売されます。NECからPC-8001が発売されるのは、更に2年後の1979年5月です。

著者の安田寿明氏は、昭和45年に読売新聞社を退社後、東京電機大学に勤められるのですが、昭和47年4月にインテルのi8008の試供品が20個、日本に入ってくるという話を聞いて、横浜に買いに行かれます。
1個85,000円のi8008を購入し、「キャラメル一粒大のそれを、ていねいにアルミ箔にくるみ、ポケットにおさめた。」という情景を想像するだけでも、マイコン黎明期の空気が感じられてワクワクしてきます。
帰りのバス代のことを忘れて、横浜駅まで歩いた、というオチがつくのも素晴しいです。
安田寿明氏の本はこの後、「マイ・コンピュータをつくる」「マイ・コンピュータをつかう」とそれぞれハードとソフトに関する本に続くのですが、最初の「マイ・コンピュータ入門」は特に、技術的なところを飛ばして、読み物として読んでも面白いです。
当時の日本では、この3部作を読んで、マイコンを始めた人がいっぱいいたはずです。
以前タクシーに乗った時、Linux Zaurusをいじっていたら、運転手さんから色々と的確な質問をされるので、聞いてみると、定年退職するまで松下電器(Panasonic)に勤められていて、既製のパソコンが無い時代から、マイコンの自作をされていたそうでした。
その自作のマイコンで、ゲームを遊んでいた息子さんは、「3人ともコンピュータ関係の仕事についています」と誇らしげに語っておられました。