趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

神戸ペンショー2日目のみ参加してきました。

神戸ペンショーのアナウンスが色々なブログで始まった頃、奥さんに駄目元で聞いてみたら、「行ってくればいいやん」とすんなりOKが出たので、いそいそと新幹線の切符を予約しました。博多〜新神戸は「スーパー早特きっぷ」で片道10,290円ですが、2週間前までに購入する必要があり、購入後の列車の変更は一切できませんので、急に用時が入らないか、病気しないか、寝坊しないかと当日までドキドキしていました。
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上の画像は、ペンショーで購入したり、参加賞としていただいてきたものです。
行くことはすんなり認めてもらいましたが、「まさか万年筆を増やすつもりじゃないよね」と釘は挿されたので、万年筆は控えめです。
画像左から、シュナイダーの万年筆は、日本向けにEFを特別に作ってもらったという話を聞き、書いてみると実際細字で書きやすかったこと、クリップが強力で紙を50枚挟めます〜ズボッというパフォーマンスにやられました。
40年以上の実績をもつ総合商社のGEETEX(ジイテックス)
プラチナのプレジールは、ドミニク・フォンデさんに彫刻 (ドリルエングレーヴィング) してもらったもの。作例のGecko (ヤモリ) に惹かれました。軸も前々から買おうと思っていたノバオレンジがあったので、ちょうど良かった。
後になって、いつも使っている万年筆にも入れて貰えば良かったと思いつきました。
ドリルエングレーヴィング(ガラス彫刻)実演販売 @神戸国際会館B2F | ナガサワ文具センター
大阪芸術大学 版画コースブログ: ドミニク・フォンデさんのガラス版画ワークショップ
drkrのペンシースは、ペンランドカフェで購入してM600を入れているのですが、他のペン用にも欲しいと思っていたので、色違いのものを購入しました。大きさは同じで色違いと思っていたら、一回り大きいタイプだったので845を入れました。
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pgary.hatenablog.com
drkrの横のペンシースと一筆箋と野帳は、うさぎやさんのオリジナルのもの、Pen Collectionと表紙に書いてある野帳はインク見本や試筆をするのに使おうと思って買いました。
倉敷・岡山の文具、文房具の専門店 うさぎや
マルマンのA6のMEMO PADは入場すると参加賞で貰えました。ペンズアレイ タケウチさんのシールが貼ってあるので、ご提供されたものでしょうか。
PEN'S ALLEY Takeuchi | 岡崎市の万年筆と紙と文具の専門店ペンズアレイ
MEMO PADのお土産があり、入場券の提示でナガサワで10%引きでお買い物ができて、色々なブースと催し物で一日中遊べて、更に運が良ければ、じゃんけん大会で商品まで貰えてしまいます。これで参加費500円で良いんでしょうか。
主催者の親方、スタッフの方、出展者の方、ご尽力された皆様に感謝しながら楽しませていただきました。
あまりご挨拶はできなかったのですが、aurora_88 さんに、めだかさんをご紹介いただいて、赤黒を使っていただいているお礼を言えたのは嬉しかったです。
万年筆評価の部屋:火曜日のアンケート【2016年4月現在に最も頻繁に使うインクを3つあげてください】
N御大が中学生にピシッと注意して、中学生がハイッと聞いている姿も緊張感がありながら気持ちの良い雰囲気でした。じゃんけん大会の時、ステージの近くでニコニコと微笑まれているのは、ひょっとして小日向さんかな〜とファンがコンサートを後ろの方の席から眺めているような気持ちで見てました。

続・6本の万年筆に入れたインクの話

前回の筆記見本だと、Citrus Blackの色がうまく出ていなかったので、紙と万年筆を変えて作り直しました。前回の紙はコレクトの情報カード C-3532でしたが、今回は丸善の「万年筆物語」のメモ用紙です。
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他の色は前回とあまり変わらないと思いますが、Citrus Blackのみ黄色が濃くでています。CitrusはStipulaのパッサポルトに入れていたのですが、アイドロップ式で空気との接触面積が大きいためか、酸化が進んでフローが渋めになっていたようです。
pgary.hatenablog.com
今回Citrusを入れたのは、萬佳さんの記憶色万年筆のペン先をレシーフ クリスタルと入れ換えたものです。2〜3日放置しても調子良くインクが出てくれます。
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pgary.hatenablog.com
一晩置いて水に沈め、しばらくジャブジャブしてみましたが、古典インクですから筆記線はしっかり残っています。
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プラチナの古典インク新色発売を前に知っておいて欲しいこと3題

1. 古典インクという言い方は間違いなのか?

悩ましい問題です。所謂古典インクを表す言葉として、パーマネントインク、混合型インク、没食子インク、iron gall inkなどが使われてきましたが、どの言葉もちょっとずつ説明不足なところがあって、ちゃんと定義するなら「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」と長くなるので、一言で表せる「古典インク」が便利なのです。*1
日本語も時代によって変化します。昔々ブルーブラックと言えば古典インクだった時代は「ブルーブラック」と言えば良かったのですが、色だけ似せた染料のブルーブラックが出てきて「パーマネントインク」と区別されるようになりました。しかし今やパーマネントと言えば顔料インクの時代です。
じゃあ「没食子インク」や「iron gall ink」という言い方はどうなのかと言うと、そもそも没食子やgallとは植物にできる虫瘤のことで、現在の万年筆インクは態々虫瘤からインクを作りませんし、じゃあ「没食子酸鉄インク」や「タンニン酸鉄インク」ならどうかと言うと、かつて古典インクの全盛時代には、没食子酸のみ含むもの、タンニン酸のみ含むもの、没食子酸とタンニン酸を混ぜたものなど、メーカーによって処方が違っていたので、これも全てを言い表わすには足りないのです。
今や古典インクを作っている唯一の国内メーカーであるプラチナ社が古典インクと呼び始めたので、もう古典インクで言いんじゃないでしょうか。

2. 古典インクはそんなに面倒なのか?怖いのか?

何事も使い方次第です。基本を知ってちゃんと使えば大丈夫。
一口に古典インクと言ってもメーカーによってずいぶん違います。鉄分の多さで比べると、プラチナ<ペリカン<<R&K<ダイアミン レジストラーズ という並びで、鉄分が少ない方がペンには優しいですが、多い方が耐水性や耐光性は高くなります。
また、使われている酸の種類が、プラチナやペリカンは硫酸、R&Kやダイアミン レジストラーズは塩酸で、硫酸の方がペンには優しいです。*2
総じて万年筆メーカーの古典インクは万年筆への影響が少なくなるように作られています。

2-1. 古典インクは金ペンでないと使えないのか?

古典インクの酸に耐えるように金ペンになったという経緯はありますが、鉄ペンについてもステンレスの改良が進み、現在の鉄ペン先は古典インクに耐えられます。*3
古典インクを採用し続けているプラチナもペリカンも鉄ペンを販売していますし、プラチナのプレピーのブルーブラックは古典インクのカートリッジが付属しています。
ただ、ペン先自体は耐えられても、ペン先に施された鍍金、ペン先に近い所にある飾りリングや金属部分は腐食されることがあるので、気をつけてください。

3. 古典インクのアスコルビン酸洗浄法とは?

このブログで2010年に世界で初めて公開された、安価で安全で効果的な古典インクの洗浄法で、アスコルビン酸 (ビタミンC) の粉末を適当 (1%くらいで充分) に水に溶かして、漬けたり吸引したりするだけの簡単な方法です。*4
古典インクが固まった時に出来ているのは、鉄(II)イオンが酸化された鉄(III)イオンとタンニン酸あるいは没食子酸がキレート化合物を作り水に溶けなくなったものです。
このキレート化合物を溶かすには、1. 鉄(III)イオンを還元してキレートを作り難い鉄(II)イオンにする。2. 酸性にしてキレートを作り難い方に平衡を移動する。3. キレート能のあるもので水に不溶性のキレート化合物ができるのを邪魔する。などの方法がありますが、還元性+酸性+キレート能があり安全性も高いアスコルビン酸が現状ではベストです。
薬局やドラッグストアで購入できる局方品もありますが、食品添加物グレードのものを大袋で購入して、余りは料理に使ったり、飲物に混ぜたりできます (紅茶に入れてレモンティ、コーラに入れてレモンコーラなど)。
手軽に少量だけ購入したいという時は、コンビニでDHCのビタミンCカプセルを購入し、カプセルを開けて中の粉末のみ溶かして使うという方法があります。
なお、ビタミンC入りの飲料など液体として売られているものは効果がほとんどありませんので、粉末を買ってきて使用直前に溶かしましょう。

DHC ビタミンC(ハードカプセル) 60日分 120粒

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