趣味の文具箱は紙版を購入しますが、dマガジンでざっと読みましたので、その感想を、Twitterでもちょっとつぶやきましたが、140字だととても足りないので。
- 作者: 趣味の文具箱編集部
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2018/09/06
- メディア: ムック
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まずインクは種類が大量に有り、新規参入のメーカーも増え、色見本をきれいに作成するだけでも大変です。更に色見本もただ塗りつぶすというものから、色々な文字や絵や模様を書くといった、だんだん凝ったものになっています。測色計による色の測定と分布図のまとめも手間がかかっていますし、今回はそれに加えて、Vol.11以来となるpH測定があります。
LAQUAtwinは使ったことがありますが、校正して洗浄、測定して洗浄、それぞれ測定値が安定するまで時間がかかりますので、1測定5分はかかるでしょう。222色をそれぞれ3回測定して平均をとっているので、5分×222×3 = 3330分、測定だけで55.5時間かかる計算になります。しかもpHの値を数字を載せるだけでなく、図にして、図の三角を各色で描くなど手間がかかりまくっています。そのこだわりに脱帽です。
このpH測定のデータはこれから末永く参考にさせていただくことになりそうで、色々なことを考える材料になります。
ふにふに。さんのブログで、TWSBIのピンクゴールドメッキが、LAMYブルーインクで剥げたという記事がありましたが、LAMYブルーインクは染料だがpHが2.1とかなりの酸性だとか。
funifuni234.hatenablog.com
白星さんのブログで、モンブランのパーマネントブラックは顔料インクだけど、古典インクと混ぜても固まらないという記事がありましたが、モンブランのパーマネントブラックは、pHが5.9と酸性側で安定させているんだなとか。
blog.livedoor.jp
ざっと見ただけでも、これまでの事象と合わせて納得のいくデータでした。
気になった点としては、p118の古典インクの説明が「染料インクに鉄分と酸性分を加えている」とかなりざっくりしていること。タンニン酸も没食子酸も名前に酸と付いてるからと、文字数の関係でギュギュと文章を詰めたのでしょうが、さすがにはしょり過ぎです。
古典インク (没食子インク) を古典インクたらしめている重要な成分は、鉄とタンニン酸や没食子酸で、タンニン酸はフェノール性水酸基、没食子酸は加えてカルボキシ基があるくらいで、酸性はかなり弱く、酸性分とまとめられると違和感があります。古典インクを酸性にするための酸は、硫酸や塩酸など別に加えられますが、これは安定化のために加えるもので、極端な話無くても古典インクは成り立ちます。