趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

R&Kのライニガー万年筆洗浄液のpHを調べてみた。

大丸藤井セントラルのセールで購入した万年筆洗浄液 ローラー&クライナー (R&K)のライニガー (reiniger)です。説明書など入っていなくて、使い方の手掛かりはラベルに書かれた文字だけ、「fill 5min - rinse」と説明不足にも程があります(^^;
f:id:pgary:20190906205807j:plain
瓶の中には洗浄液溜めがあります。昔のシェーファー Skripインクの様な構造ですが、Skripはガラスでインク溜めを作っていたのでコストがかかりそうですが、この構造なら安くできそうです。インク瓶にも採用されないかな。
f:id:pgary:20190906210309j:plain
KINGDOM NOTEやPen and messageによる解説を読むと、洗浄液を吸入後5分程筆記して、水で濯ぐという使い方をするようです。

使ってみようにも、良い感じに詰まった万年筆が無いので、とりあえずpHだけ見てみました。
f:id:pgary:20190906210823j:plain
pHは9ぐらいでしょうか、アルカリ性です。
R&Kは没食子インクのサリックスやスカビオサを出していますし、大丸藤井セントラルの商品ポップには、没食子インクにも効果有りと書かれていたのですが、没食子インク (古典インク) の主な固着成分であるタンニン酸鉄や没食子酸鉄は酸性条件で良く溶けますので、アルカリ性のライニガーで落とすのは効率が悪いです。
ライニガーはあくまで顔料インク用の洗浄液だと思っておいた方が良いと思います。
また、ライニガーの様な洗浄液を定期的に使うことを進める向きもありますが、せっかく調子の良い万年筆を洗浄すると、却って調子を悪くしてしまうことがあるので、この手の強力な洗浄液は調子が悪くなってから使うものだと思います。
ちなみに、Rohrer & Klingnerのインクで実際に顔料インクなのは、document inkなどのwaterproofと明記されている一部のインクで、他のインクは没食子インク以外、染料インクになります。
pgary.hatenablog.com

趣味の文具箱の万年筆インク掲載数の変遷アップデート Vol. 51

今週のお題「わたしの自由研究」
趣味の文具箱 Vol.51が発売されました。今回は1年振りのインク特集です。これまた何度も書いていますが、九州は雑誌の発売が遅れます。以前は2日遅れだったのですが、運送会社の負荷が大きくなったため、現在は3日遅れになっています。電子版は発売が遅れませんので、今回もまずd magazineで確認して、後から紙の本を購入します。
趣味の文具箱の万年筆インク掲載数の変遷 - 趣味と物欲
Vol.47のインク特集までの趣味文掲載のインク数をグラフにしたことがあります。Vol.47では747色のインクが掲載されていましたが、Vol.51では1517色に増えました。

号数 趣味文発行日 インク掲載数 備考
9 2008/1/30 208
14 2009/8/10 207 高橋良香 氏によるLab測定開始
21 2011/12/20 14号に追加
25 2013/3/20 21号に14色追加
28 2013/12/20 25号に58色追加
32 2014/12/20 431 28号に33色追加、6色削除
36 2015/12/10 470
40 2016/12/10 539 36号に56色追加
44 2017/12/20 602 40号に34色追加、デルタを削除
47 2018/9/20 747 44号に135色追加、2色削除
51 2019/9/5 1517 ペン&インクブランド804色、ショップオリジナル713色

これまでは、ほぼ直線的に増えてきていたのですが、今回いきなり倍に増えています。新規インクブランドの参入が続き、どの新規ブランドも多作であることが、その要因の一つだと思います。
f:id:pgary:20190905202104j:plain
さすがにそろそろ頭打ちになるのではないかと思うのですが、まだ増えるんでしょうか(^^;
pgary.hatenablog.com
Vol. 47、50に引き続き、古典インクの説明がざっくりなのは、テンプレートなのでしょうがないのでしょうね。趣味文では、「染料インクに鉄分と酸性分を加えている」のが古典インクだと説明していますが、

  1. 古典インク (没食子インク) を古典インクたらしめている重要な成分は、鉄とタンニン酸や没食子酸で、タンニン酸はフェノール性水酸基、没食子酸は加えてカルボキシ基があるくらいで、酸性はかなり弱く、酸性分と言うのは違和感があります。
  2. 古典インクに加えられる、硫酸や塩酸などの酸は、安定化のために加えるもので入っていなくても古典インクは成立します。
  3. 歴史的には、鉄とタンニン酸や没食子酸で作った没食子インクが有り、そこに染料を加えてブルーブラックが完成したので、趣味文の書き方だと染料インクに後から加えたような感じで違和感があります。

pgary.hatenablog.com
細かいことに気にし過ぎの感はありますが、こだわりのある所なので書き続けようと思います。

DIAMINEのシマーリングインクBlue Flameを使い始めた。

大丸藤井セントラルの20%オフセールで購入したDIAMINEのシマーリングインク Blue Flame、インクの中にラメが入っています。
f:id:pgary:20190904212932j:plain
底を見ると、結構がっつりとラメが入っていて沈殿しています。良く振って静置しても30秒も置くと、また沈殿していました。
f:id:pgary:20190904213028j:plain
バラしやすいことと、2重ペン芯でも詰まらないか確かめてみたくて、パイロットのカスタム74のC (コース) に入れてみました。中を観察できた方が良いかと思い、透明のカスタム74から軸だけ借りています。大容量なことからつい買ってしまって、いつの間にか増殖しているCON-70にスポイトで注入します。
f:id:pgary:20190904213011j:plain
インクの色はかなり好みで、ラメが無くても使いたくなる色です。
f:id:pgary:20190904212957j:plain
筆記線にラメがのりますが、この時は控え目な出かた。ラメの量は変動がするようです。
f:id:pgary:20190904212944j:plain
最初にインクを通すときに使った紙を見るとラメがたっぷり出ていました。
f:id:pgary:20190904213051j:plain
ラメを安定に分散させるために、微粒子化するとか、粘度を上げるとか何か工夫されているのかと考えていたのですが、特にそういうことは無く、普通のインクに普通にラメを入れたという印象を受けました。様々なインクを許容できるという万年筆の利点を活かしたインクだと思います。
しばらく使ってみて、また経過を報告したいと思います。
今週のお題「わたしの自由研究」