趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

還元剤で安定化した万年筆型筆記具用水性インキ

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というような会話があったので、実現できるか考えてみました。没食子酸鉄インキの原液は調製直後はほぼ透明なのですが、すぐに酸化が進んで黒くなっていきます。青の色素の量を少なくしたものを試作してみましたが、原液の黒が勝ってしまい透明性は高くなりませんでした。
そこで、アスコルビン酸で古典ブルーブラックの汚れを洗浄をするという話(古典ブルーブラックインクの万年筆へのこびりつきを化学的に落とす。 - 趣味と物欲)のときからコンセプトだけはあったのですが、アスコルビン酸をインクに添加してみました。
プレピーに入れて実際に書いてみます。書いた直後はほぼ透明ですが、あっという間に黒く変色していきます。心配した程、書き味も悪くはありません。

色素の入っていない没食子酸鉄インク
更に最低限筆記線が見える程度の色素を加えてみました。

最低限の色素入り没食子酸鉄インク
色素が没食子酸鉄の黒をカバーできないので、筆記後しばらくするとほぼ黒になってしまいます。

カートリッジが透ける程、透明かと言われると微妙です。青の色素だとあまり透けてみえないのですが、赤や黄色の色素にしたら透けるかもしれません。

安定性などしばらく経過観察してみます。

ちょっとそれっぽくまとめてみた。

【請求の範囲】
水溶性還元剤とキレート剤と鉄イオンを含有する万年筆用水性インキに関するものである。
【従来の技術】
タンニン酸や没食子酸と鉄(II)イオンのキレート化合物が,酸化され,水難溶性になることを利用して紙に定着させるインキが,古くから万年筆用ブルーブラックインキとして用いられてきた。しかしこのインキは酸化により,水難溶性化合物を形成することから,インキ瓶中あるいは万年筆中での安定性が問題であった。
【解決しようとする課題】
前記した従来型ブルーブラックインキの安定性を改善し,長期間の保存によってもインキの安定性を確保し,筆記不良を起こさない万年筆型筆記具用水性インキ組成物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
水溶性還元剤としては,アスコルビン酸などの水溶性ビタミン類とその誘導体,エリソルビン酸ナトリウム,BHT(ジブチルヒドロキシトルエン),BHA(ブチルヒドロキシアニソール),没食子酸プロピル,亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤グルコース,フルクトース,グリセルアルデヒドラクトース,マルトースなどの還元糖が用いることができ,2種以上を混合して用いてもよい。特に好ましいものとしては,アスコルビン酸が挙げられる。