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ペリカンジャパンが染料と言ってもAmazonで購入したペリカンのブルーブラックインク(16D)は古典インクでした。

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ペリカンの4001 ブルーブラックインクが古典インク(没食子インク)から染料インクに変わる、変わった、変わるかもという話は何度も何度も蒸し返される話です。
何のアナウンスも無く染料インクに変更したLAMYとモンブランの例がありますから、ペリカンについても安心はできないと思いますが、伊東屋丸善の店員さんが「ペリカンBBは染料インクである」と断言されていた2015年8月の時点でも、調べてみると古典インクのままでした。
そのあたりの経緯は過去の記事に詳しく書いています。

その節は、DiTさん、tisotopeさんにはお世話になりました。
それから1年と3ヶ月程過ぎ、Lorenzoさんより情報をいただきました。


下記がそのAmazonのレビューを引用したものです。

5つ星のうち 1.0 ウソの情報, 2016/11/21
投稿者 Amazon カスタマー
レビュー対象商品: ペリカン ボトルインク ブルーブラック 4001/76 正規輸入品 (オフィス用品)
4001買ったが、1週間後の水流実験実験では見事に消え去った。古典没食子ではないのである。ペリカンジャパンもうちでは古典であると謳えないという回答を得た。16年11月現在そうなっている。でもネット上の記事ではこのレビュウの一人の以外はみんな古典だと書いている。
訂正と、認識をあらたにしてほしい。
ウソの情報

「消え去った」と書かれているし、「ペリカンジャパンの回答を得た」と書かれているので、これは本当に染料に変わったのかもしれないと、私もAmazonのこのページから購入して調べてみることにしました。


結果から言うとまったくの杞憂でした。


ロットは16D、2016年の4番目のロットということだと思います。


画像中央に並べているのが二価鉄試験紙を用いた鉄イオンの検出結果で、左下の画像は筆記したものの右側を水に浸漬したものになります。
左下の試料は、筆記後10分もしないうちに水にたっぷり浸漬してみましたが、筆記線は十分残っており、消え去るということはありませんでした。


二価鉄試験紙は二価鉄イオンと反応して赤く変色する試験紙です。細く短冊状に切り、一端にインクを付けて展開します。左側はペリカンBB(16D)の原液を展開したもの、右側は5倍に希釈した液を展開したものです。
原液のままだと、添加された青の色素がかぶって分かり難いのですが、展開されたインクの先端付近が赤くなっているのが分かります。希釈すると更に色の変化が分かりやすくなります。
というわけで、、、ロット16DのペリカンBBはまだ古典インクでした!

どうも、ペリカンジャパンの公式見解が「ペリカンBBは染料」ということになっていて、その情報が伊東屋丸善の店員さんと共有されるものだから、この話が繰り返されるのだと思います。
ちなみに本家ペリカンのページだと下記の様に書かれています。

4001 blue-black
The least complicated ink which is still relatively light resistant, is the ink "4001 blue-black", our item no. 310 607. This ink contains iron gall, which makes it much more resistant than for example the ink shades 4001 royal blue or 4001 brilliant black, but due to the addition of special ingredients, you can still use this ink without qualm in piston or cartridge fountain pens. Within time, the ink will change its tone from blue to gray, but it will remain visible. It is not quite as light resistant as the Fount India. Due to the small concentration of iron gall, this ink will not damage your paper (which sometimes happened with historic ink made of iron gall.)
Pelikan

上の英文から読み取れることから想像してみると、現在も売られているもので言えば、ダイアミンのレジストラーズインクの様な鉄量が多い古典インクに比べると、ペリカンBBは鉄量が少ないことから、ペリカン本家は古典的な没食子インクでは無いと言っているのを、ペリカンジャパンで訳し損ねて、「古典インクではない → 染料インク」と誤解されたのかもしれません。
pgary.hatenablog.com

ワタリ・ニンジャさんにもご協力いただきご確認いただきました。


トトメスさんのページでは本家ペリカンのドイツ語版ページの情報から、没食子インクであると確認いただきました。
http://thutmose.hatenablog.com/entry/2016/11/29/174457thutmose.hatenablog.com