趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

趣味の文具箱10月号 Vol.55によるとペリカンのブルーブラックは1年程前から染料に切り替わっている模様とのことですが、自分で科学的に確認するまではpending

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趣味の文具箱10月号 Vol.55、例によって発売が3日遅れる地方で、今回は台風10号の接近もありましたから紙で購入する前に電子でも購入しました。
やはり言及したいのは、62頁の古典ブルーブラックに関する記事です。
ペリカンのブルーブラックも1年ほど前から染料に切り替わっている模様」と書かれていて、ついにこの時が来たか、という感じもしますが、今まで散々、ペリカンジャパンや大手文房具店が「ペリカンのブルーブラックは染料インクだ」と言っているのに、実際に調べてみると古典ブルーブラックだったという経験をして来た立場からは、例え趣味文に書かれていたとしても、そのまま鵜呑みにはできません。
今回の趣味文にも、染料になったというペリカンのブルーブラックやそのpHなどのデータは載っていませんので、科学的に確認されるまでpendingとさせていただきたいと思います。*1
pgary.hatenablog.com

私が最後にペリカンのブルーブラックが古典であることを確認したのは、2020年3月の上記の記事ですが、この時は伊東屋から通販したのに、前進陳列のためか古いロットのものが送られてきたので、今のところ私が確認できている最新ロットは、B19で2019年の前半のものです。購入できるロットが確実に1年以内のものになるまで、もう少しだけ待ってみようと思います。
もし箱の折り返しにある番号が20台 (2020年製造) のペリカン ブルーブラックをお持ちの方で、古典ブルーブラックかどうか確認したいという方がいらっしゃれば、二価鉄試験紙を送りますのでご連絡ください。

pgary.hatenablog.com
ペリカンブルーブラックが染料インクに変わったと言われることが多い背景について考察(妄想?)した上記記事では、TSCA(有害物質規制法)絡みで、米国ではペリカンBBが販売できなくなっていたことを、理由の一つに挙げています。

pgary.hatenablog.com
しかし、TSCA(有害物質規制法)絡みで使えないのは、上記記事に書いたように、古典インクを構成する必須成分ではありませんので、TSCAで古典インクが規制されたわけではありません。それ以外の成分、例えば使われていた染料がTSCAに引っかかったのだとすれば、別の色素を使うようにすれば米国でも販売は可能です。

ペリカンのブルーブラックの色味が変わった」と聞くことがありますが、酸化による色の変化具合以外に、ひょっとしたら、、、なんて妄想も捗ります。
pgary.hatenablog.com

また、ペリカンのブルーブラックの話ではありませんが、趣味の文具箱の古典インクの説明がざっくりし過ぎていて誤解を招きかねないという件については、上記記事他何回か書いてきました。
古典ブルーブラックに含まれる酸性分というくくりで、タンニン酸や没食子酸を分類してしまうと、古典ブルーブラックが強酸性なのは、タンニン酸や没食子酸のせいだと誤解される向きも多いと思います。安定化のために別途硫酸や塩酸を加えないと、あんなに低いpHにはなりません。

とにかく、ペリカンのブルーブラックは今度こそ本当に染料インクになっているのかもしれませんが、自分で確認するまでは信じられないという気持ちです。

追記
2021年3月にLot20F (2020年のF期生産) が古典ブルーブラック (没食子インク) であることを確認しました。
pgary.hatenablog.com

*1:その後、2020年F期製造のLot.20Fが古典インクであることを確認しました。