趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

各種古典ブルーブラックインクをモレスキンで滲みと裏抜けテスト

しゅんさんがP.W.Akkermanの没食子ブルーブラックが滲みやすくないか気にされていたので、モレスキン (moleskine) を使って滲みと裏抜けのテスト

上から順にペリカン4001BB、プラチナBB、ローラ&クライナー (Rohrer&Klingner) サリックス (Salix)、ダイアミン (DIAMINE) レジストラーズ、アッカーマン (P.W.Akkerman) BB、KWZ IG BB、喜望峰、とここまで古典ブルーブラックインク、比較として染料インクの中でも滲みやすいパイロットBB
筆記に用いたのは、Y.S.&CO.のガラスペン、平和萬年筆の太字、1回1回洗って水気を取り、同じ高さインクにディップして書きました。

ダイアミンはちょっと前のものなので色素がだいぶ抜けた色になっています。
髭の出かた (滲み) はアッカーマンはダイアミンと同程度の少なさで非常に優秀ペリカン、プラチナ、ローラ&クライナーはほぼ横並びで、KWZと喜望峰パイロット並に良く滲みます。滲むのは、フローを良くするために加えられている溶剤の影響と考えられます。

裏抜けもアッカーマンとダイアミンは全く認められず。どちらも鉄分多めの古典ブルーブラックなので筆記性能は高いが、使用にはそれなりに注意が必要と思われます。

二価鉄試験紙の赤さが鉄分多めの証

こうして並べてみると、ペリカンやプラチナの定番のブルーブラックは、絶妙に鉄量と性能のバランスがとれていると思います。

ラムネ瓶が楽しいP.W.Akkermanの没食子ブルーブラックインク

ラムネ瓶のような仕組みでインクを吸入しやすく工夫されているP.W.Akkerman (アッカーマン) のインクには、Ijzer-galnoten Blauw-Zwartインクがあります。オランダ語で、Ijzer-galnoten Blauw-Zwartは、英語だとIron-gall blue black、没食子のブルーブラックインクです。

英語でiron-gall inkとかiron-gall blue blackという場合、本当に没食子 (虫瘤) を使ったインクというより、所謂、古典ブルーブラック「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」を意味します。

P.W.Akkermanは、オランダのハーグにある老舗の文具店で、そこのオリジナルのインクシリーズとのことです。

箱の表記によると、since 1910ということなので、第一次世界大戦のちょっと前、ハーグ陸戦条約の効力が発生したのが1910年1月26日だそうです。

見た目も匂いも、書いた時の色も昔ながらのブルーブラックという感じです。

ペリカン ブルーブラックの定期調査の時の画像ですが、P.W.AkkermanのIjzer-galnoten Blauw-Zwartは、ペリカンと比較して、鉄分多めで、しっかり鉄の入った古典ブルーブラックインクのようです。


Akkerman Delftsblauwe vulpeninkt

ペリカンブルーブラックが古典ブルーブラックのままか定期調査 Lot. B19 (2020年3月)

またまたTwitterで「2019年11月購入のペリカン ブルーブラックが古典インクではなくなっていた」という投稿を見つけてしまったので調査しました。
日本でもっとも新しいロットを持っているであろう伊東屋の通販に注文しました。送料を無料にするために、PWアッカーマンの没食子ブルーブラックとカヴェコのスモーキーグレーも一緒に購入しました。
PWアッカーマンのインクボトルは、インク溜めがラムネ瓶のような構造がユニークで欲しかったのですが、出張で伊東屋に行った時はこのボトルを抱えて飛行機に乗るのが怖くて購入を断念していたのです。
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ペリカンの4001ブルーブラックはパッケージが新しくなってから、箱のベロの部分に西暦の下二桁とアルファベットを組合せたロット番号が記載されています。
今回購入したペリカンブルーブラックのロットはB19でした。これが20台の番号だったら2019年11月のものは、まだ古典インクと自身を持って言えるのですが、若い番号なので何とも結論が出し辛いです。
これが伊東屋の持っている最新のロットなのかもしれないし、通販には古いロットから出しているのかもしれません。
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ともあれB19のロットは古典インクでした。二価鉄試験紙が赤く変色するとインクにFe2+が含まれている、すなわち古典インクと判断できます。
また、PWアッカーマンの没食子ブルーブラックは、色から見る限りかなり多く鉄を含んでいるインクのようです。
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古典インクかどうかを調べるためだけに買ったペリカン4001ブルーブラックが5本になってしまいました。新しいパッケージになってからの4本は、それぞれ13I, 14C, 18H, B19というロットです。
今回は不完全燃焼な調査結果になってしまったので、もう少し新しいロットが出回り出したころにまた調査をしようと思います。
無駄に購入するペリカンブルーブラックを減らしたいので、「ペリカンブルーブラックが古典インクではなくなっていた!」と発言される時は、

  1. ボトルインクなのかカートリッジなのか
  2. ボトルインクなら箱に書かれているロット番号はいくつなのか
  3. どうして古典インクではないと判断したのか

も同時に発信していただけるとありがたいです。
銀座 伊東屋