梅棹忠夫研究室で秘書をされていた藤本ますみさんが梅棹研究室の日常を書かれた「知的生産者たちの現場」は楽しそうな研究室の様子が伝わってくるホッコリとする本です。
この本の中で私が好きな文章は、35頁(文庫版)とまだ冒頭ですが、梅棹先生が魚一のお弁当を見ての一言、「きょうのおかずはおいしそうなグジやないか。」というところです。
そこからしばらく、お茶を入れて、魚の骨をとり、食事の描写が続きます。グジというのは甘鯛のことで、福井県の若狭で取れたグジが昔から京都に運ばれて食べられていたそうです。
なんということはないお昼ご飯の風景なんですが、ゆったり目の時間が流れている昔の研究室の様子がうかがい知れて好きな文章です。