昨日の記事で、「自作古典ブルーブラックの新処方はペンには優しいが、裏抜けはしやすくなったかもしれない - 趣味と物欲」と紹介した新処方ですが、その原因は酸化が遅くなっているためかもしれません。*1
色の変化が分かりやすいように新処方をベースにした黄黒を調製しました。
↑こちらが書いた直後の画像、ワグナーの黄黒を使ったことのある方はご存じかと思いますが、旧処方の黄黒は、書いた直後から見る見るうちに黒変していきます。新処方の黄黒はまだかなり黄色いままです。
↑24時間後の画像です。旧処方の黄黒は書いた直後とほとんど同じ色ですが、新処方の方は徐々に黒く変色してきているのが分かります。
古典ブルーブラックインク中の没食子酸鉄の成分は鉄が酸化されると、水に不溶性になり黒くなりますので、酸化が早い方が散り難く、裏抜けもし難くなると考えられます。
贅沢を言わしていただけたら、細字ですと変色時間が早いので
あと少し遅くしていただきたいと望みます。
黄黒については上記のようなご要望もいただいていたので、新処方のような方向性もありかもしれません。
新処方の何が違うかと言うと、塩酸や硫酸のような無機酸の代わりに、有機酸のクエン酸を添加してpHを調整しています。
塩酸や硫酸に比較して腐食性は下がると予想されますが、ペン先や紙の腐食のもう一つの要因である鉄は除けませんので、腐食をゼロにすることはできません。
耐水性や保存性などの性能をとるか、少しでもペン先への影響を軽減させる方をとるかは好みの問題になると思います。
追記
後で行った耐水性の結果を見ると、酸化が遅くなったからではなく、クエン酸鉄が生成しているため、変色が遅く見え、裏抜けもしやすく、耐水性も落ちたのではないかと考えられます。
pgary.hatenablog.com