趣味と物欲

博多天神界隈を本と文房具(万年筆とインク)と電子ガジェットを探して徘徊しています。

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万年筆用古典インクについて、文献を調査し、自ら実験してきた記録の主要な記事まとめ 本ブログのメイン記事
古典ブルーブラックと万年筆と私 または私は如何にして心配するのを止めて古典インクを愛するようになったか no+e版
万年筆適当主義 (鉄ペンに古典インク入れちゃうし、定期的な手入れもしてないよ。) 肩肘張らず、もっとカジュアルに万年筆を使おう。
ペリカンブルーブラックが古典ブルーブラックのままか定期調査 Lot. 20F (2021年3月) 古典インクのままです。
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古典インク(没食子インク)を使いやすい万年筆、極私的なセレクト

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極論を言ってしまえば、自己責任を貫く限り使いたいもので使えば良い。
インクによる焼けや鍍金の剥れも勲章、自分が使ってきた歴史の証と思えるようになれば最強なのですが、大事な万年筆の調子が悪くなったり、ましてやダメージを受けたりしたらテンションが下がるのも事実、私的に古典インクを使いやすいと思っている万年筆を紹介してみます。

古典インクの使用に適した万年筆

一番安心して使えるのは、国産で1万円くらいの金ペン、特にペン先に鍍金されていない金一色のもの、次点で銀色のロジウム鍍金。

ピンクゴールド (ローズゴールド) 鍍金やルテニウム鍍金は剥れることがあるのでお勧めしない。またペン先付近の首軸に金属の装飾リングや象嵌があるものもお勧めしない。

国産3社はどれも気密性が高く安心だが、あえてどれか選ぶなら、純正インクに古典ブルーブラックとクラシックインクがあり、スリップシール機構を供えたプラチナのセンチュリーシリーズをその心意気を称えてお勧めしたい。

鉄ペン (実際はステンレスペンと言うべきでしょうが) で古典インクを使っていると公言すると、何処からともなく鉄ペン警察が現れ、止めさせようとしてくるのですが、万年筆を使い初めて古典インクに興味を持った人のハードルを、金ペンまで上げて諦めさせてしまうのはあまりに勿体無い。プレピーのブルーブラックなんて、古典インクのカートリッジが付属しているので、たった300円で古典インクデビューできてしまうのです。

ただし、古典インクを鉄ペンで使ってよいと主張することは、ペンを腐食させたくないという気持ちを否定するものではありません。私だって海外製の1万を超える鉄ペンに古典インクを入れるとなれば多少躊躇はします*1。しかし、自ら古典インクを使いたいと言っている人がプレピーやkakunoで使おうとしているのまで、一々止める必要は無いんじゃないでしょうか。

他のメーカーのステンレスペン先も古典インクに十分耐えますが、スリップシール機構による気密性の高さと、純正の古典インクが有り、古典インクを使うことを最初から考慮されていることを評価して、プラチナのプレピー、プレジール、プロシオンのステンレスペン3兄弟をお勧めします。

古典インクの使用に適さない万年筆

逆にこの万年筆では古典インクを使わない方が良いというものも存在します。

パイロット キャップレス

金ペンのモデルもありますが、ペン先より気密性のためのシャッター機構の動きが古典インクで悪くなります。
さようなら、キャップレス - Aber des Herren Wort bleibet in Ewigkeit

コンバーターで古典を入れていたキャップレスは、開閉の度にジャリジャリという錆び付いたような音が出るようになってしまいました

https://masahiro.gr.jp/product/pilot/kobetsu/capless/#i-10

軸内部やシャッター付近もペン先が出し入れされる際、インクが付着します。
従って、インクを変更する場合は、当店またはメーカーにて、筆記体のみならず、シャッター部分を含めた洗浄が必要です。

https://twitter.com/dusknoir_coc/status/1368493370201440261?s=21

2019年頃シャッター部分に固着による汚れが溜まり、気密性が落ちたことによってメーカー全洗浄になりました。それ以外に問題は今のところありません。

https://twitter.com/dusknoir_coc/status/1368502747402629121?s=21

ペリカンの首軸に装飾リングが有るモデル (M400以上?)

首軸の装飾リングの腐食が多数報告されています。
首軸装飾リング修理 / PELIKAN M400 - 筆記具工房 ロジューラのブログ

モンテグラッパ ミクラの首軸

古典インク時代のモンブラン ミッドナイトブルーでスターリングシルバーの首軸が腐食してしまったそうです。
https://twitter.com/_happystar_/status/525139471004483585

LAMY2000

首軸先端の金属の腐食事例が報告されています。
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ピンクゴールド鍍金のペン先

私自身プラチナのピンクゴールド鍍金を剥してしまったことがあります。
WAGNERインクは念のためにピンクゴールドメッキの万年筆では使用されないでください。 - 趣味と物欲
TWSBIのピンクゴールド鍍金は古典インクではないが低pHのLAMYブルーで剥げたそうです。
ツイスビー(TWSBI)のピンクゴールドニブのメッキについて - アケボノインコと私

ルテニウムコーティングのペン先

セーラーのインペリアルブラックのルテニウム鍍金がダイアミンのレジストラーズブルーブラックで剥げてしまったそうです。
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またモンブランはStarWalker Midnight Blackのルテニウムコーティングがバーガンディレッドに含まれる鉄ガリウムで変色を起こす恐れがあるとアナウンスしています。
モンブランのバーガンディレッドは古典インクなのかという謎について考察してみる。 - 趣味と物欲
バーガンディレッドは実際は古典インクではありませんが、ルテニウムコーティングも弱いのは確かなようです。
万年筆インクの宿題:結局モンブランのバーガンディレッドは古典インクじゃありませんでした。 - 趣味と物欲

パイロットのコンバーター CON-70

CON-70に関してはダイアミン レジストラーズインク限定なのですが、動きが悪くなるという事例が知られています。ダイアミン レジストラーズインクは古典インクの中でも特に鉄分が多く含まれているため影響が出やすいのだと思います。
ダイアミンのレジズトラーズインクでCON-70が不調になったそうです 3例目 - 趣味と物欲

自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで、、、
pgary.hatenablog.com

*1:躊躇はしますが今は開き直って、あえて雑に使う万年筆適当主義を標榜しています 万年筆適当主義 (鉄ペンに古典インク入れちゃうし、定期的な手入れもしてないよ。) - 趣味と物欲